地球温暖化がなければ、パリ・オリンピックの会場周辺の気温は今より3度程度も低かった――。フランスを含む地中海沿岸地域の7月の気温は、人間活動が原因の温暖化で2・5~3・3度引き上げられていたとの分析結果を、国際研究チーム「ワールド・ウエザー・アトリビューション(WWA)」が発表した。
7月はアフリカ北部や欧州各地が記録的熱波に襲われ、モロッコでは48度超を観測した地域もあった。
チームは観測データや、個々の気象現象と温暖化の関係を定量的に分析した過去の研究成果などを活用し、地中海沿岸地域の熱波と温暖化の関係を分析。7月のような熱波は温暖化がなければ起こりえなかったと結論づけた。現在の気候では10年に1度程度発生するようになったと予測され、温暖化が深刻化すれば、その頻度はさらに高くなるという。
五輪開幕後、パリでは最高気温が35度に達する日もあり、熱中症の症状を訴える選手も出ていた。
チームのインペリアル・カレッジ・ロンドンのフリーデリケ・オットー上級講師は「アスリートたちが35度のうだるような暑さに苦しむ姿を世界中が目の当たりにした。化石燃料の燃焼で大気中の温室効果ガスが増えすぎていなければ、スポーツをするにももっと安全な環境だっただろう」としている。【山口智】
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