足寄動物化石博物館と岡山理科大学などの研究チームは、約2400万年前の地層から化石で見つかった最小級のペンギンが新種であると突き止めた。翼の骨の形が古代のペンギンと現代の種の中間的な特徴を持っていた。ペンギンの翼が水中での生活に適した形に進化した過程を解明する手掛かりになる。
研究チームは、1987年にニュージーランド南島のオタゴ地方で見つかった翼の骨と大腿骨の化石を詳しく調べた。翼の肩関節が現代のペンギンに近い構造をしていた一方、肘関節は古代のペンギンとよく似ていた。この組み合わせを持つ化石が見つかるのは初めてで、分類学上の新しい「属」の新種と判断した。
体高は30〜35センチメートル、体重は1キログラムほどと推定され、現在生息する世界最小のペンギン「フェアリーペンギン」と同じくらいの大きさになる。属名はマオリ語とギリシャ語で「小さい潜水者」を意味する「パクディプテス」と命名した。これまでに発見された最小級のペンギンの中で、最も古い時代に生きていたとされる。
ペンギンは6千万年以上前から存在しているが、現代のペンギンと古代のペンギンでは翼の骨の形が大きく異なるなど違いがみられる。ペンギンの翼がどのようにして現在の形と機能を持つようになったかは詳しく分かっていない。
研究チームがパクディプテスの骨の内部構造を分析したところ、フェアリーペンギンと同じくらいの骨密度を持っていた。ペンギンの骨は遊泳能力が高く、深く潜る種ほど骨密度が高くなる傾向がある。パクディプテスは浅い海を泳ぐのに適していたと考えられる。
パクディプテスの肘関節が曲がる角度が、現代のペンギンより小さいことも分かった。ペンギンは翼の肘関節を伸ばして泳ぐ。ペンギンの翼が進化の過程で、効率よく泳げるように曲がった状態から真っすぐな状態に変わっていったとみられる。
足寄動物化石博物館の安藤達郎館長は「パクディプテスは系統的に、現代のペンギンと古い時代のペンギンをつなぐ重要な位置にある」と話した。成果は国際科学誌の特集号の電子版に掲載された。
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