たばこの煙から身を守る「嫌煙権」運動に取り組んでいる月刊紙「禁煙ジャーナル」編集長、渡辺文学さん(87)=東京都世田谷区=が自宅近くを散歩しながらたばこの吸い殻拾いを続けている。拾った吸い殻は7月7日、10万本に達した。「たばこのポイ捨ては環境問題だと知ってほしい」と話している。【古関俊樹】
39歳で禁煙決意
渡辺さんは若い頃、公害や環境問題に関する市民活動に取り組みながら、1日にたばこ60本を吸うヘビースモーカーだった。「公害や環境問題をなくそうと訴えているのにたばこを吸っていいのか」と考え、39歳の時に禁煙を決意。以降、たばこの問題を社会に訴えている。
吸い殻拾いは日課の散歩中にたばこのポイ捨てが多いのを見て、2019年1月に始めた。ほぼ毎朝、トングとビニール袋を手に自宅近くの京王線芦花公園駅周辺を約30分かけて歩き、拾った本数を記録する。1日平均で約58本になる。
道端の同じ場所に同じ銘柄の吸い殻が落ちていることが多く、「常習犯がいる」のだという。吸い殻が詰め込まれた空き缶があれば、ペンチで切断して取り出している。以前は紙巻きたばこばかりだったが、昨年春ごろから加熱式たばこも増えてきた。
「ポイ捨て=環境汚染」
世界保健機関(WHO)は22年、たばこには有害化学物質が含まれ、廃棄される際に環境中に漏れ出しているとする見解を発表した。毎年およそ4兆5000億個のたばこのフィルターが海や川、土壌などを汚染している、としている。
渡辺さんは「たばこをポイ捨てすると、環境を汚すことにつながると知ってほしい。ポイ捨てをなくすため、これからも吸い殻拾いを続けていく」と語る。
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