奈良公園の鹿を蹴ったり、たたいたりする動画がSNSで拡散されたことを受け、奈良県は15日、「人と鹿のよりよい共生関係の構築をめざす」として、保護に向けた声明を発表した。

 5日にあった県の有識者会議で、出席者から県の方針を示すべきだとの声が上がっていた。

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 県の声明は、国の天然記念物に指定されている奈良の鹿に危害を加える動画について「文化財保護法に抵触する可能性があり、極めて不適切」と指摘。鹿も観光客も安心して奈良公園で過ごすための「正しい接し方」を示している。

 具体的には、「背中に乗る、角をつかむなどの接触は、ストレスや害を与える可能性がある」「マダニなどが寄生している可能性がある」として、直接的な接触は避け、鹿せんべい以外は与えないように求めている。

 このほか、子鹿や出産期のメス、発情期のオスに不用意に近づかないことや、公園内では犬にリードをつけること、鹿の誤食を防ぐためにゴミの持ち帰りを求めている。

 奈良公園室は「100年後も奈良の鹿が変わらず元気で奈良公園で暮らすことを目標に、公園と周辺を中心に神鹿(しんろく)として保護し、人との共生をめざしたい」としている。(机美鈴)

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