記録的な豪雨などで日本各地に被害をもたらしている台風10号について、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは30日、人為的な気候変動によって最大風速が7.5%増した可能性があるとの暫定的な分析結果を発表した。台風10号のような強い暴風を伴った台風の発生頻度も3割近く高まっているという。

 チームは、コンピューターシミュレーションで、特定の気象現象に対する気候変動の影響を分析する「イベントアトリビューション」という手法を用いた。「IRIS」と呼ばれる数百万の熱帯低気圧のモデルデータを集めたシステムを使い、台風10号について、最大風速の予測にも関わる「潜在強度」という指標を分析。気候変動の影響がないと仮定した地球での潜在強度との違いを調べた。

 その結果、気候変動によって台風10号の最大風速は時速10.4キロメートル(7.5%)増した可能性があることがわかった。また、気候変動がない場合には同規模の台風の発生頻度は10年に4.5回だが、気候変動によって5.7回に増える可能性があることも判明した。

 チームの一員で、インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理学科研究員のネイサン・スパークス博士は「この研究は警告として受け止めるべきだ。人間が気候を温暖化させる限り、台風は激化し続ける」と述べている。

 日本近海は2024年に入ってから、海水温が観測史上最高レベルの高さになっており、専門家の間でも極めて厳重に警戒する必要があるとの指摘も出ていた。地球温暖化による底上げに加えて、黒潮の異常な流れが影響しているとみられている。(市野塊)

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