詳しく知りたい〈9完〉
使用済み核燃料の中間貯蔵施設に伴う交付金があるのでしょうか。 調査段階から地元に億単位の交付金が入ります。山口県上関町は、50年間の貯蔵で約360億円に上ると試算しています。一問一答形式で詳しく説明します。
【連載】核燃料のゆくえ
原発で使い終わった核燃料をどうするのか。中国電力と関西電力による中間貯蔵施設計画の動きや、使用済み核燃料の現状を連載で報告します。
Q 原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設が山口県上関町で検討されている。調査や建設の過程で地元にどのような交付金が入るのか?
A 原発の立地・周辺自治体を対象にした「電源三法」に基づく交付金がある。発電所などの設置や運転を円滑に進めるのが目的だが、原発関連である中間貯蔵施設にも適用される。
地層などが建設に適しているかを調べる立地可能性調査の期間、当該の市町村と都道府県に、合わせて年に最大1億4千万円の交付金が入る。知事が建設に同意すれば、その後2年間の交付金の額は最大で年に9億8千万円に跳ね上がる。
Q 中国電力は、適地かどうかを資料で検討する「文献調査」を2023年8月に始めた。
A 23年度分の交付金は年度途中だったため、町は「全額を使い切れない」として約7400万円を申請し、交付を受けた。24年度は満額に近い1億3千万円を見込んで予算案に盛り込んだ。
交付金について県は、中間貯蔵施設は「町が取り組んでいること」として23年度の申請を見送った。24年度も申請しないという。
Q 調査が終わった後の交付金は?
A 建設段階は使用済み核燃料の最大貯蔵能力(ウラン重量のトン数)に交付単価50万円をかけた額、運転段階は実際の貯蔵量(同)に交付単価62万5千円をかけた額が交付される。
中電は施設の規模や運用する年数を「未定」としているが、上関町は1千トンを50年受け入れた場合、約360億円の交付金が受けられるとの試算を議会側に示した。
Q 東京電力と日本原子力発電が出資した「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が青森県むつ市で中間貯蔵施設の運用を始めようとしている。むつ市への交付金の額は?
A むつ市に建設されている中間貯蔵施設の貯蔵能力は3千トン。調査に伴う交付金は約25億円、着工後は約205億円に上る。
Q 仮に上関町が建設を受け入れた場合、その後のスケジュールは?
A 中電は建設の具体的な計画を示していない。むつ市のケースでは、01年の調査開始から青森県の同意まで4年半、着工まで9年以上かかった。
Q 上関町での最近の動きは?
A 中電は今年に入って町内の建設予定地で森林の伐採を行い、4月23日からボーリング調査を始めた。求めに応じて町民への小規模な説明会を随時開いているという。
また、昨年11月以降、周辺4市町を回り、各首長と議員に施設の概要を説明してきた。ただ、現時点で周辺の理解が得られているとは言い難い状況だ。(山野拓郎)
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