シナモン粒子を使ったシャボン玉は、1年以上形を保っていた=大阪工業大学提供

大阪工業大学とフランス国立農業・食料・環境研究所は食べられるシャボン玉を開発した。すぐに割れず長期にわたって形状を保てるため、食品として利用しやすい。企業と連携して商品化を目指す。

一般にシャボン玉は、薄い水の膜に、洗剤の成分である界面活性剤がくっついているため、丸い形になっている。界面活性剤は数ナノ(ナノは10億分の1)メートル程度の分子で、水の膜の表と裏に並ぶ。

2017年に、水の膜に1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以上の大きさの固体の粒子をつけた「ガスマーブル」というシャボン玉がフランスのナビエ研究所で開発された。通常のシャボン玉より安定して存在し、22年にフランスのリール大学の研究チームが1年以上割れなかったという報告を出している。

ガスマーブルを載せたケーキ=フランス国立農業・食料・環境研究所提供

大阪工大などは、食べられるガスマーブルを開発した。水の膜につける固体粒子にはシナモンの粉末を使った。シナモン粒子は不規則な形をしているため、粒子同士が絡み合い、水が蒸発した後も形が残る。実験では1年以上形状を保っていた。

水の代わりに牛乳やコーヒーを使ってもガスマーブルを作製できた。牛乳を使ったときは水分が蒸発した後に脂肪分が残るため、丈夫なカプセルになった。大阪工大の藤井秀司教授は「これまでは物理学の研究者が取り組んでいたガスマーブルの技術を食品に応用した。かんだらカリっと音がして、食感も面白い」と話す。香りのついた気体を入れて作るのも可能だ。ココアやウコンなど他の材料でも試している。

藤井秀司教授らはこれまで、酸性にするなどの刺激を与えると割れるガスマーブルなどの開発も手掛けてきた。内部に気体を含んだカプセルであるガスマーブルは、新しい材料として活用できるとみている。気体は熱を伝えにくいため断熱の効果があり、建築資材などにも応用できると期待している。

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