群馬大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、生分解性プラスチックが海洋ですばやく分解する手法を開発した。プラスチックを分解する微生物を誘引する物質を混ぜた。実用化できれば、プラスチックによる海洋汚染の改善に役立つ。
生分解性プラスチックは、微生物の力を借りて二酸化炭素(CO2)と水にまでバラバラになる素材だ。ただ、海洋では分解するための微生物の密度が土壌に比べて小さいため、生分解が進みにくいのが課題だった。
研究チームは、生分解性プラスチックの「ポリブチレンサクシネート(PBS)」に微生物を誘引する物質を混ぜた。この物質は自然界では植物の葉の表面に含まれる「クチン」を構成する。
微生物は餌があると勘違いし、分解するための酵素を生産する。この酵素がプラスチックの高分子鎖を切断し、微生物が取り込んで餌として消費しやすくする。
この物質を混ぜたプラスチックは海水中で、3カ月後には90%ほど分解した。この物質を混ぜないと、ほぼ完全に残っていた。群馬大の粕谷健一教授は「生分解性プラはどの環境でも分解するわけではなく、現在販売されている多くの生分解性プラが海洋では分解しない」と話す。研究成果は、釣り具や人工芝に使う素材の開発に役立つと期待している。
生分解性プラスチックを海で分解しやすくするために、プラスチックを構成する鎖のならびを変えたり、分解する微生物を混ぜ込んだりするなどの手法も研究されている。
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