岸田文雄首相とバイデン米大統領が10日(日本時間11日)に発表した共同声明では、人工知能(AI)の研究や開発で日米が連携を強化する方針を示した。科学研究に特化した生成AIの基盤モデルを開発するほか、産学連携でAI研究を進める新たな枠組みを構築する。国際的な開発競争が過熱するAI分野で、協力して研究・開発体制を整備。産業競争力を高めて主導権確立を目指す。
共同声明では、AIなど次世代の重要技術の開発や保護について、「グローバルなリーダーとしての共通の役割を強化する」と明記した。
生成AIを巡っては、中国が技術開発を加速させている一方、欧州連合(EU)は世界初となるAIの開発や利用に関する包括規制法の施行へ手続きを進めている。これらの動きを踏まえ、日米で安全性を確保しながら開発を行い、産業や研究など幅広い分野でのAI活用を強力に推進する。
具体的な取り組みとして、理化学研究所と米アルゴンヌ国立研究所が連携し、科学研究分野に特化した生成AIの基盤モデル開発を目指す。両研究所が持つ研究情報やスーパーコンピューターの相互利用などで協力。将来的には開発した基盤モデルを使って、実験やシミュレーションの自動化を行うなど科学研究の加速化を目指す。
また、筑波大と米ワシントン大、慶応大と米カーネギー・メロン大がそれぞれAI研究や人材育成などで提携。二つの取り組みには、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、米半導体大手エヌビディア、日本の企業連合などが総額1.1億ドル(約168億円)の資金を拠出し、産学連携でAI開発を後押しする構えだ。
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