東京電力福島第一原発の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた準備で起きた手順ミスについて、東電は5日、原因調査の結果と今後の方針を発表した。装置の動作確認などに数日かかるといい、取り出しの着手は週明け以降になる見通し。

 政府と東電の計画では、同原発2号機の原子炉格納容器の底部にある3グラム以下の燃料デブリを試験的に取り出す。燃料デブリは1~3号機に推計880トンあるが、いまだ手つかずで詳しい組成などはわからないため、少量を分析して今後の取り出し方法の検討などに生かしたいという。

 東電は当初、8月22日朝に格納容器につながるルートの途中にある「隔離弁」の先へ取り出し装置を挿入し、作業に着手する予定だった。ところが、この日、装置を押し込む5本のパイプの並び順が誤っていることがわかり、作業を延期した。

 東電によると、装置に電気などを供給するためのケーブルを5本のパイプの内側に通す作業は、7月下旬に行った。しかし、東電は「一般的な準備作業」ととらえ、パイプの順番を現場で確認していなかったという。

 東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「パイプの並び替えや装置の動作確認などには数日程度かかる。当社が確認したうえで、具体的な作業日程はあらためて事前にお知らせする」と述べた。(福地慶太郎、矢田文)

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