試料中の鉱物の成分を分析し、りゅうぐうの水の成分を復元した=JAMSTEC提供

海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究グループは、小惑星「りゅうぐう」の水がナトリウムやマグネシウムに富んでいたと明らかにした。揮発性があって宇宙空間に放出されやすい有機物と結びつき、小惑星内に残ったとみられる。太陽系が誕生して間もない頃の物質の動きを解明する手掛かりになる可能性がある。

研究チームは試料中の特定の鉱物の成分を分析し、その結果から水の詳しい成分を復元した。鉱物は水が岩石と反応して作られるため、鉱物の化学組成をもとに水の成分を把握できる。

鉄を除く主要な金属元素では、ナトリウムがもっとも多く、マグネシウムがこれに次いだ。ナトリウムやマグネシウムは、有機物などと固体を作る性質を持つ。この作用によって、揮発して宇宙空間に放出されやすい有機物が、りゅうぐうにとどまった可能性がある。

水が岩石とより反応して、マグネシウムを含む新たな鉱物を作っていることも分かった。マグネシウムの反応に伴って、水ではナトリウムの割合が高まったとみられる。

JAMSTECの高野淑識上席研究員らによる研究成果で、5日付(日本時間)で英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」(電子版)に掲載された。研究チームは7月に、りゅうぐうがかつて水にあふれた天体だった可能性があるとする論文も発表している。

はやぶさ2とりゅうぐうのイメージ=池下章裕氏提供

りゅうぐうは地球が誕生する以前から存在し、太陽系の太古の昔の物質をそのまま持っている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」がりゅうぐうから試料を地球に持ち帰り、国内外で詳細な分析がされている。米国の探査機「オシリス・レックス」は別の小惑星「ベンヌ」から試料を持ち帰っており、りゅうぐうとの比較も研究課題となっている。

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