国内で棋聖・天元・本因坊の三冠を有する一力九段は、世界のトップ棋士が参加する囲碁の国際大会、「応氏杯世界選手権」の決勝に臨み、中国の謝科九段に勝って優勝しました。

一力九段は9日、中国から帰国して東京の日本棋院で会見を開き、「対局後、重たいトロフィーを抱えたり、多くの方からお祝いしてもらったりして、優勝の実感が少しずつ湧いてきました。途中は苦しい形勢でしたので最後なんとか逆転できて、ほっとした気持ちです」と喜びを語りました。

また、主要な国際大会では19年ぶりとなる日本の代表選手の優勝については「自分が結果を出すことで若手の棋士が『自分もやれる』と思ってくれれば、優勝したかいがあると思います。日本と中国、韓国のトップ層のレベルはきっ抗していると思いますが、棋士の層の厚さの面で厳しいと感じているので、対局や研究会を通して自分が主導し、日本囲碁界の棋士全体のレベルアップにつながる活動をしていきたいです」と語りました。

そして今後の目標を問われると、「世界戦を優勝できたのは自分にとって大きかったですがこれから2つ、3つと優勝を重ねていくのは非常に大変だと思います。ただ、世界戦に出る機会は多くいただいていますし、日本の棋士全体のレベルの底上げのためにも、自分が先頭に立って、やっていきたいです」と話していました。

一力遼九段の出身地 仙台の囲碁サロンでも喜びの声

世界のトップ棋士が参加する囲碁の国際大会の「応氏杯世界選手権」で仙台市出身の一力遼九段(27)が優勝したことについて仙台市内の囲碁サロンでも喜びの声が聞かれました。

仙台市青葉区にある「青葉囲碁サロン」は一力九段が時々、指導に訪れる場所で、9日も囲碁の愛好家たちが集まって対局を楽しんでいました。

9日は一力九段の幼少期に囲碁を指導していたという日本棋院宮城県支部連合会の笠原嘉洋会長が訪れて、8日の決勝の対局を振り返っていました。

笠原さんは「世界一になってうれしいです。幼少期の一力九段は負けると悔しがって泣き、その分、強くなりました。『而今』という色紙をもらいましたが、ことばどおり、そのときを精いっぱい生きてきたことで世界で優勝できたのだと思います」と話していました。

宮城県の女性棋士で作るグループ「青葉会」の藤島洋子会長は「一力九段はここ数年で急激に強くなって羨ましいと思います。さらにタイトルを獲得して囲碁界の第一人者として君臨してほしいです」と話していました。

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