2024年度の新聞協会賞に日本経済新聞の「OSINT(オープンソースインテリジェンス)と3D表現技術による新たなデジタル報道手法の開拓」が選ばれました。日経では記者やデザイナー、エンジニアなど異なるスキルと経験を持つ人材を集め、ニュースをよりわかりやすく、より深く伝えるビジュアルなコンテンツを制作しています。受賞2本を含め反響が大きかったコンテンツを無料公開します。
◆JAL機炎上、そのとき何が 検証・羽田空港衝突事故
2024年1月、羽田空港で日本航空(JAL)機が海上保安庁機とぶつかり、炎上しました。滑走路での衝突はどうして起きたのか、なぜ防げなかったのか。現場の映像や交信記録、3Dモデルによる再現から検証しました。発着過密な巨大空港で発生した事故に世界から注目が集まるなか、大量の公開情報から真実を掘り起こすOSINTの手法で事実に迫りました。▶コンテンツをみる
◆福島第一原発の処理水、海にどう放出? 3Dで解説
2023年8月、政府は東京電力福島第1原子力発電所で貯蔵する処理水の海洋放出を始めました。国際原子力機関(IAEA)は「国際的な安全基準に合致」すると認定。しかし、実際にどう流すのか、どう安全を確保するのか。多数の写真から立体画像をつくる「フォトグラメトリー」で3Dモデルを構築し、処理水放出のステップを図解。デジタル報道に新境地を開きました。▶コンテンツをみる
◆氾濫する生成AIアニメ 9万枚調査で見えた権利侵害
生成AI(人工知能)により既存アニメを模した画像が際限なく生み出されています。ネットに氾濫するAIアニメの実相に迫るため、「ポケットモンスター」のピカチュウや「ONE PIECE(ワンピース)」のルフィ、「鬼滅の刃」の竈門炭治郎といったキャラクターの画像を丹念に分析。大量の画像をスムーズに表示するため、社内のエンジニアが地図アプリで使われている技術を参考にしてプログラムを開発しました。▶コンテンツをみる
◆五輪の都「パリ空中散歩」 沸き立つ街、くすぶる課題
パリ五輪はセーヌ川が開会式の舞台となり、エッフェル塔やコンコルド広場、パリ近郊のベルサイユ宮殿といった観光名所なども競技会場になりました。街は五輪に沸き立つ一方、経済格差や人種差別問題などの課題もくすぶります。上空から俯瞰(ふかん)するデジタル地図で主要な会場を巡り、併せて移民が多いパリ郊外の状況を伝えます。▶コンテンツをみる
◆ふるさと納税、実質収支の全国市区町村マップ
地方の魅力的な返礼品を求めて「ふるさと納税」の寄付金額は拡大しています。一方で、自治体が返礼品の調達などに多額の公費を投じることに批判の声があります。寄付の流出入に加え、調達などの経費や、国の地方交付税による補塡も考慮した「実質収支額」はどうなっているのか。デジタル地図で全国の市区町村をチェックできるようにしました。▶コンテンツをみる
職種横断、フラットなチームで報道
活字だけでは伝えきれない情報をどう表現するのか――。旧来のメディアの枠組みでは扱うことが難しいテーマを掘り下げるため、日経は編集者、記者、デザイナー、エンジニアが机を並べる職種横断のビジュアルジャーナリズムのチームをつくり、拡充を続けています。チームにはメディア以外の業種出身者も多数在籍。縦割りを排したフラットな組織でニュースの真相に迫ります。
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