横浜市瀬谷、旭区にまたがる米軍上瀬谷通信施設跡地内を走る環状4号線、通称「海軍道路」沿いの桜並木について、市は一部の樹木を新たに整備する公園に移植したうえで病気に強い品種を植え、桜並木を再生させる案をまとめた。海軍道路と公園に約40品種600本の桜を植え、新たな桜の名所をつくる構想だ。
関係者への取材でわかった。
施設跡地では2027年に国際園芸博覧会(GREEN×EXPO)が開催され、その後、東京ディズニーランドと同規模の大型テーマパークの建設が計画されている。
これに伴って市は海軍道路の幅員を18㍍から31㍍に広げる方針で、桜並木の伐採が計画されていた。一方、市民有志からは伐採に反対する約3万6千人分の署名が市長宛てに提出されていた。
市によると、桜並木は1976年ごろから植樹が始まり、95年度には約600本の桜の木があった。しかし、半世紀近くが経ち、倒木が発生したり、倒木の危険性がある木を伐採したりした結果、昨年度には202本まで減っていた。
関係者によると、今年度に入って樹木医が現存する168本を診断したところ、異常なしとされたのは19本だけで、腐朽が進行したり進行が予測されたりするものが計149本にのぼった。このままでは5年後には桜並木が消滅することが予測されるという。
そこで市は、異常なしと診断された樹木と倒木の危険性がない樹木について、通信施設跡地内に新たに整備する公園に移植したうえで、海軍道路には病害虫などに強い品種の「コシノヒガン」を植えて、桜並木を再生させる方針。公園内には品種の異なる桜を植樹し、花の色や開花時期が異なる桜を楽しめる名所にすることをめざすという。(堅島敢太郎)
「海軍道路の桜、切る時期に」樹木医会代表理事
かながわ樹木医会・安部鉄雄代表理事の話
樹木を移植する際には根を切って移動させるため、新たな場所で根付くまでに時間がかかり、弱りやすい。倒木のリスクも高くなり、支柱で支えるなど管理費用もかかる。健全なものだけを植え替えるという判断は妥当だ。
倒木の危険性がないと判断された樹木も、倒れるときは倒れる。根にどれだけの支持力が残っているかは診断しても読めない。海軍道路の桜は根が縁石に乗り上げ、歩道を持ち上げている。車道側に傾くなどバランスが悪く、切る時期に差し掛かっていると思う。
コシノヒガンは淡いピンク色の花を咲かせ、ソメイヨシノに近い。ただ、ソメイヨシノほど成長が早くなく、小ぶりな樹種なので、車道にかかりにくい。また、公園に早咲きから遅咲きまで様々な品種を計画的に入れると、形が違う花を長い期間楽しめる場所になるだろう。
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