欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は19日、米アップルに対して、デジタル市場法(DMA)の義務違反の疑いで調査を始めた、と発表した。対象になったのは、スマートフォンやタブレット向けの基本ソフト(OS)で、関連するサービスを提供する企業の製品との相互運用性が不十分だと判断した。

 DMAは、米国に拠点を置く巨大IT企業による市場独占を防ぐ目的で、3月に本格運用が始まった。顧客の囲い込みを防ぐため、巨大IT企業に自社サービスの優遇などを禁じている。

 欧州委は、たとえばアップルのスマートウォッチ「アップルウォッチ」が、他社のスマホなどに対応していないことを挙げ、「相互運用性はOS次第だ」と指摘。ほかにも、音声アシスタント「Siri(シリ)」といったアップル製品の主要機能について、関連するサービスを提供する別の企業にも開放するよう求めた。

 欧州委は6カ月以内に調査を終え、アップルにとるべき対策を伝えるとしている。違反が認められた場合、世界総売上高の10%を上限に制裁金を科す可能性がある。

 DMAでは、EU域内の月間利用者数が4500万人以上や、年間売上高が75億ユーロ(約1兆1960億円)以上などの条件を満たす企業を規制対象に指定。アップルは昨年9月から対象になっていた。(ブリュッセル=牛尾梓)

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