日本は大型基幹ロケット「H3」などを手掛けるが、いずれも使い捨てだ(7月、種子島宇宙センター)

政府は26日、ロケットや人工衛星の打ち上げに関する法律の改正を見据え、専門家会議での議論を始めた。再使用型ロケットなどを念頭に、現状の法で想定していない宇宙への輸送手段が実用化できるように対象を広げる。衛星の打ち上げ競争が国際的に激化しており、ロケット企業が事業展開しやすい環境を整える。

政府の宇宙政策委員会に小委員会を設置し、26日に1回目の議論を実施した。今後、法改正に向けた方向性を整理し、12月にも中間取りまとめの骨子案を示す。多様な輸送手段のほか、高頻度にロケットを運用できるよう、政府への一度の申請で複数回の打ち上げを認める検討もする。

改正を見据えるのは、衛星やロケットの打ち上げに政府の許認可を義務づける「宇宙活動法」だ。2018年に施行されたが使い捨てのロケットが前提となっている。

多数の小型衛星を一体運用する「衛星コンステレーション」の普及で、ロケットの打ち上げは近年、増加している。けん引するのは実業家イーロン・マスク氏が率いる米スペースXの再使用型ロケットだ。同社は有人輸送も手掛けており、宇宙空間を経由して地球の2地点を高速で結ぶ新しいサービスの構想も掲げている。

日本でも再使用型ロケットや有人輸送による事業を目指す企業が現れている。法整備が進み、許認可の基準や失敗した場合の補償制度などが明確になれば、企業は事業計画を立てやすくなる。政府は30年代前半までに国産ロケットを年間30回打ち上げる目標を掲げており、達成には民間ロケットを育てる必要がある。

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