群馬県立自然史博物館(富岡市)は24日、常設展示しているペルー産のクジラの化石(全長約10メートル)がナガスクジラ科の新種と判明し、学名を「インカクジラ フォーダイセイ」と命名したと発表した。同館は「当時の多様なナガスクジラの様子の一端が明らかになった」としている。
化石は、1987年にペルー・アレキパ州の700万~800万年前の地層からほぼ完全な全身骨格で発見された。91年に県が取得し、96年から同館で常設展示している。
同館は2004年からニュージーランド・オタゴ大名誉教授だった故ユワン・フォーダイス博士とともに展示されていた化石を研究。愛知県蒲郡市の「生命(いのち)の海科学館」などで展示されていたクジラの化石が16年に新属新種の「インカクジラ」と判明したことを契機にさらに詳しく調べていた。
その結果、これまで知られていたインカクジラの化石よりも若い個体とみられる県立自然史博物館の化石の体長が明らかに大きく、鼻骨の位置にも違いがあることから新種と結論づけた。
化石を調査した同館の木村敏之学芸員は「骨格やヒゲ板の痕跡の特徴から新種のクジラは機敏な遊泳能力を持ち、多様な種類の生物を捕食していたとみられる。絶滅してしまったインカクジラの具体的な生態を明らかにする貴重な資料」と話している。【庄司哲也】
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