「H3」3号機の機体(3月、愛知県飛島村)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日に開かれた文部科学省の専門家会議で、大型基幹ロケット「H3」で補助ロケットを使わない機体を2025年度にも打ち上げる計画を示した。機体の簡素化で打ち上げコストを抑える。実用化できれば前身機「H2A」の半額となる約50億円の価格目標の達成に近づく。

専門家会議「宇宙開発利用部会」で明らかにした。従来の国産大型ロケットは、本体の横に補助ロケットを装着し推力を得ていた。補助ロケットを使わない新形態は、本体の1段エンジンの数を増やし、それらを同時に制御する技術が必要となる。

25年度の飛行は試験段階と位置づける。ロケットの性能を確認する機器を載せて、大型衛星を宇宙空間に安全に運ぶ能力を確かめる。飛行実証に影響のない範囲で、複数の超小型衛星も載せる。

23年3月のH3初号機の打ち上げは失敗したが、24年2月の2号機は成功した。7月の3号機で初めて大型衛星を宇宙空間に届けた。今後は運用を三菱重工業に移管し、国の衛星だけでなく、海外の衛星の打ち上げ受注を増やす。

受注にあたっては、打ち上げコストの抑制が重要になる。約50億円の目標達成には簡素化とともに、本体の1段エンジンの性能をより高める必要がある。エンジンの改良には数年程度かかるとされる。

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