地球観測衛星「アースケア」が複数の観測装置を組み合わせて捉えた台風第10号の観測画像=JAXA/ESA提供

宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは4日、日欧が共同開発した地球観測衛星「アースケア」を使い、台風10号の雲の立体構造を撮影した画像を公開した。3種類の異なる方法で同時に観測すると、より正確に雲の量を計測できるようになるという。

アースケアはJAXAと欧州宇宙機構(ESA)が共同開発し、5月に打ち上げられた。雲の構造や大気中の微小な粒子(エアロゾル)の分布などを観測できる4種類の観測装置を搭載する。それぞれの装置で場所と時間がほぼ一致した観測データを同時に取得できるのが特徴だ。中でも、JAXAと情報通信研究機構(NICT)が開発したレーダーは雲の高さ方向の分布のほか、世界で初めて雲をつくる雨粒の上下方向の速度も計測できる。

地球観測衛星「アースケア」のイメージ図=JAXA提供

今回公開されたのは、8月に奄美大島付近の海上にあった台風10号の雲の観測画像だ。レーダーとESAが開発した2種類の観測装置を組み合わせることで、雲の水平方向の構造や、高さ方向に幅広い雲がある様子を観測でき、雲の量をより正確に測定できるようになった。

JAXAによると、雲による温暖化への影響は、温暖化予測をする上で最大の不確実要因だという。アースケアで取得する精緻な観測データは、気候変動の予測精度の向上に役立つという。

アースケアは25年1月まで取得データの定量化や検証を進めて定常運用へと移行する。取得データの公開も25年1月以降に始める予定だ。

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