東北大学は光を当てるだけでアンモニアの燃焼効率を上げる方法を開発した。アンモニアは燃えたときに二酸化炭素(CO2)を出さない燃料として注目を集めているが、従来の化石燃料に比べて燃えにくいのが課題だった。アンモニアを使う火力発電などの性能向上に役立つ。
アンモニアは温暖化ガスのCO2を排出しない燃料として期待されている。ただ、アンモニアは非常に燃えにくい。アンモニアの燃える速さは常温常圧では従来の化石燃料に比べて約6分の1にとどまる。空気を予熱したり、特殊なバーナーを開発したりして工夫しているが、より簡単に燃えやすくする方法が求められていた。
研究チームは、水素バーナーと電気ヒーターを使って、ガラス管の中でアンモニアを燃やす実験をした。水素バーナーを使ったときだけ、燃え始めるときの温度が100度以上下がった。水素の火炎からは、紫外線の中で波長が短い「深紫外線」が出ている。深紫外線によって、アンモニアを構成する原子の結合が不安定になり、燃焼反応が促進したとみている。
水素の火炎でアンモニアが燃えやすくなる結果を得たのは、半分偶然だった。東北大の中村寿准教授は「深紫外線を照射する光源としては何でもいい。原理自体はシンプルで、光を当てるだけでこれだけ効果があった」と話す。企業と連携して、実用化を目指す。
炭素を含まないアンモニアの直接燃焼は、日本では政府が支援して開発を進めている。火力発電最大手のJERAは、従来の化石燃料にアンモニアを混ぜて燃やす「混焼」の実証実験を4〜6月に実施した。
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