山中俊治・東京大特別教授の研究室が宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発を進める、災害現場での救助を想定した飛行装置=木奥恵三氏撮影
写真一覧

 今週末からのゴールデンウイークには、各地で最先端の科学に触れられるイベントが開かれている。災害救助を想定した体に装着する飛行装置や、1枚の布から作る折り紙のような洋服など近未来の技術とデザインを紹介する企画展や、日本初の月面着陸を成し遂げた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型実証機「SLIM(スリム)」プロジェクトマネジャーの講演など、月や地中深く、または未来にまで思いをはせることができるものが目白押しだ。

企画展「未来のかけら:科学とデザインの実験室」で展示されている作品=2121デザインサイト提供
写真一覧

 東京都港区のデザイン専門施設「2121デザインサイト」では、企画展「未来のかけら:科学とデザインの実験室」が開かれている。デザインエンジニアの山中俊治・東京大特別教授をディレクターに、科学者や技術者、デザイナー、クリエーターがコラボレーションした作品が並ぶ。

熱を加えると布が収縮する技術と、服の折り目を設計する技術で一枚の布から作った洋服=©ISSEY MIYAKE INC.
写真一覧

 会場では、山中研究室がJAXAと共同で開発を進める、災害時に人体に装着して目的地まで飛び、到着後は単体で帰還させられる無人航空機(UAV)の試作モデルを公開している。また、熱を加えると布が収縮する技術と、服の折り目を自動で設計する技術によって一枚の布から立体的に製作された洋服も展示。3Dプリンターの技術で制作された、微細で複雑な手のひらサイズの構造物を触って、構造の特色や感触を体感できるコーナーもある。8月12日までで入場料一般1400円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。

 5月5日には、今年1月に月面着陸に成功したSLIMのプロジェクトを率いた坂井真一郎さんが、相模女子大グリーンホール(相模原市南区)で講演する。プロジェクトの裏話や、参加者が日ごろ抱いている宇宙に関する疑問に答える。ロビーでは、SLIMが月面に頭からひっくり返るように着陸している様子を撮影し、地球に送信した探査ロボ「SORA―Q」のデモンストレーションも行う。参加無料。定員先着1000人。JAXA宇宙科学研究所のホームページから予約する。

 産業技術総合研究所地質標本館(茨城県つくば市)では、謎の温泉に迫る特別展「プレートテクトニクスがつくる なぞの温泉『深部流体』」が開催中だ。日本には多くの温泉があるが、有馬温泉(神戸市)のように火山や海がない場所でも100度の高温や、海水の2倍の塩分濃度を持つ起源のわからない温泉があり、研究者の関心を集めてきた。研究により、地下水が地球の表面を覆うプレート(岩板)の動きで地球内部を移動し、地表に出てきたものだと分かったが、展示ではプレートテクトニクスと共にその謎を追う。入場無料で9月1日まで。

 高エネルギー加速器研究機構(つくば市)は、4月27、28両日に千葉市美浜区の幕張メッセで開かれる「ニコニコ超会議」(実行委員会主催)に参加する。27日午前10時半と午後0時15分からは、ホイップクリーム、アイスクリーム、カスタードといった食材のうち、銃弾を止めることができるのはどれかを実験などで探る「防弾スイーツ超実験」があり、機構の研究者がやわらかい物質が持つ「粘弾性」について説明する。他にも、空から降る素粒子の観察や、偏光板を使って光の性質を知る工作など、研究に関する体験コーナーを設ける。入場券(1日券大人3900円など)の購入が必要。【垂水友里香】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。