15日、千葉市の幕張メッセで開幕した「CEATEC」は、国内外から800を超える企業や団体が最新のデジタル機器や技術を出展しています。
25回目となることしのテーマはAIで、人の心理状態を推定する技術も出てきています。
測定した脳波をAIが音楽と映像で表現
このうち「JVCケンウッド」は、専用のデバイスで測定した脳波をもとに、AIが音楽と映像で表現する技術を東京藝術大学と共同で開発しました。
会場では、チョコレートを食べて幸せな気持ちになったあと、家族との別れといったつらい状況を言葉や映像で示された場合に抱いた感情を表現するデモンストレーションが行われました。
イノベーションデザインセンターの※すけ川達弘さんは「気がつかない深層心理を数値化できる可能性がある。自分は大丈夫だと思っていても心が折れているとか、そういう人をさりげなく癒やすようなシステムなどを運用できる」と話しています。
※すけは「魚」へんに「生」。
顔の表情や目の動きを検知 AIが心理状態を推定
また、「パナソニックホールディングス」は、人の姿勢や動作を測定したうえで顔の表情や目の動きも検知することで、AIが心理状態を推定する技術を展示しました。
感情が高まっているのか、それとも落ち着いているのかや、集中の度合いを数値や図を通じて把握することができるということです。
プロダクト解析センターの丸山博さんは「相手の感情を把握してコミュニケーションを活性化したり、ストレスの兆候を把握したりする技術に活用していきたい」と話していました。
このほか会場では、各社がAIを活用した最新の技術を展示しています。
骨格の動きをAIで分析 スポーツの正しいフォームを提示
富士通は、人の動作から骨格の動きをAIで分析し、スポーツの正しいフォームを提示する技術を紹介しました。
これまで体操の採点などに使われていて、会社はこの技術をさらに多くのスポーツやイベントに活用先を広げていきたいとしています。
AI機能を搭載した冷蔵庫 料理のレシピも提示
パナソニックは、AIの機能を搭載した冷蔵庫を展示しています。
冷蔵庫のカメラを通して早めに消費すべき野菜などの食材を見つけたり、料理のレシピも提示したりする機能も備えています。
AIが交通事故の原因を分析 報告書の作成も
NECはAIを活用して車のドライブレコーダーの映像から交通事故の発生の瞬間を取り出し、事故原因などの分析とともに報告書の作成も行うシステムを開発しました。
報告書の作成にかかる時間をこれまでより半減できるとしていて、今年度中の実用化を目指しています。
この展示会は、今月18日まで一般公開されます。
専門家「AIで心理状態を推定・分析 かなり実用レベルに」
AIなどの技術に詳しい「三菱総合研究所」の中村裕彦主席担当部長は、AIで人の心理状態を推定・分析する技術は特にこの2、3年で発展し、現状について「かなり実用レベルになってきた」としています。
そして、企業のマーケティングやメンタルケアなどに活用されつつあるとしたうえで「技術が進展すると、推定した感情に基づいて適切な反応をするAIが出てくると思う。『注意力が散漫になっているのでリマインドしよう』などと予兆がわかる時代になるのではないか」と話しています。
“生体情報” プライバシーの保護が課題に
一方で、課題として生体情報を扱うことに対するプライバシーの保護を挙げ「事前にどういう情報を取得するのかということを相手に知らせる必要があり、取り扱いは非常に注意しなければならない」と指摘しています。
さらに、現在のAIの推定や分析について「『この人がこの表情だからこうだ』と断定することは絶対できない。それらを踏まえて参考情報として使う姿勢が重要だ」と話しています。
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