日本心臓移植学会によりますと、現在、脳死からの心臓移植を受ける際には、補助人工心臓を着けていたり、集中治療室などに入院して心臓の働きを助ける薬を投与されていたりする患者などのうち、待機期間が長い患者から順に提供を受けることになっています。

しかし、患者の病状が急に悪化しても移植を受ける順番は変わらないため、日本心臓移植学会によりますと2021年までにおよそ540人が待機中に死亡しているということです。

このため日本心臓移植学会と日本循環器学会は、緊急度の高い患者が最優先で移植を受けられるよう優先順位の基準の見直しを厚生労働省に要望することになりました。

学会の新たな基準の案では、待機期間にかかわらず緊急に心臓移植を行わないと死亡する可能性が高い患者が優先的に移植を受けられる枠を設ける一方で、この枠で移植を受ける人を年間の移植件数の20%程度として、待機期間に応じた順番で移植を待つ患者への影響を最小限にとどめるなどとしています。

日本心臓移植学会の澤芳樹理事長は「脳死からの心臓の提供は去年100件を超え、命の危険が迫っている患者の優先順位を考えられる状況になった。緊急度の高い患者が優先的に移植を受けられるようにすることで待機中に亡くなる患者を減らしたい」と話しています。

日本臓器移植ネットワークや日本心臓移植学会によりますとことし9月の時点で心臓移植を待つ患者は828人いて、平均待機期間は5年近くに及んでいます。

学会は近く厚生労働省に新たな基準の案を提出し、10月23日に開かれる専門家の委員会で審議される見通しです。

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