明治神宮外苑地区(東京都)の再開発をめぐり、都環境影響評価審議会で21日、樹木の伐採本数を減らす事業者の見直し計画が議論され、大きな異論は出ないまま終了した。環境影響評価(アセスメント)の手続きはこれで終わりとなり、代表施行者の三井不動産は審議会後、早ければ10月中にも伐採と移植に着手する考えを明らかにした。

 再開発は、神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替え、超高層ビル2棟を新築する計画。工事に伴う樹木伐採は昨年9月にも始まる予定だったが、「環境破壊だ」との批判が相次ぎ、都も伐採前に樹木の保全策を提出するよう求めていた。

 審議会では、新ラグビー場の規模を変更するなどして樹木の伐採本数を124本減らすほか、新たな日照確保や樹木の移植方法について事業者が説明。委員からは「樹木の伐採本数減だけを目的とせず、空間や生態系への配慮が必要だ」などと指摘があり、事業者側は今後も定期的に審議会で樹木の調査状況などを報告するとした。都は「(見直し計画が)環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるとは認められない」とし、環境アセスのやり直しは必要ないとの判断を示した。

 危機的状況にある文化遺産を守る目的で発する「ヘリテージアラート」を発したユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」の国内委員会の石川幹子理事は見直し計画について「『緑の質』についての検討が不十分だ」と指摘している。(中山直樹)

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