国連環境計画(UNEP)は24日、各国が現在の温暖化対策のままでは、世界の平均気温は今世紀末に、産業革命前から最大で3度以上上昇するとの報告書を公表した。アフリカ連合を除くG20(主要20カ国・地域)が世界の温室効果ガスの8割を排出しているとし、こうした国が大規模な削減を主導しなければならないと指摘した。
UNEPは、産業革命前からの気温上昇を2度や1.5度に抑える目標と、現在の排出状況との差を毎年評価している。報告書は、11月11日から始まる今年の国連気候変動会議(COP29)での議論でも活用する。
報告書では、各国が現在の政策を継続▽提出済みの温室効果ガスの削減目標を達成▽資金支援を条件とした途上国などの削減目標を達成――などの条件で、複数のシナリオを分析。シナリオによって今世紀末の気温上昇は2.6~3.1度となった。
「気候変動の正念場に」
2023年の温室効果ガスの排出量は約570億トンで、前年よりも1.3%増。新型コロナの世界的流行前の10~19年は年平均0.8%増で、悪化している。全排出量のうち、アフリカ連合を除くG20は77%を占め、まだ排出のピークに至っていない国も多い。
一方、1.5度目標の達成に必要な温室効果ガスの削減量は、30年までに190億~240億トン、35年までに260億~320億トン。2度目標なら30年までに110億~160億トン、35年までに150億~210億トンだった。
UNEPのアンダーセン事務局長は「気候変動の正念場にきている。私たちはいまだかつてない規模とペースで(資金や対策を)世界的に結集させる必要がある」と話している。(市野塊)
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