熱帯魚のゼブラフィッシュの発生を解析し、小脳の発生に必要な遺伝子を特定した

名古屋大学の日比正彦教授らは、運動の制御などを担う小脳ができるのに必要な4つの遺伝子を見つけた。魚類が卵の中で個体となる発生時に働き、小脳の神経細胞を作る。ヒトの胎児でも同様の仕組みがあるとみられ、小脳が関わるとされる自閉スペクトラム症(ASD)の解明などにつながる。

小脳には脳全体の8割程度の神経細胞が集まるとされ、運動の制御や学習などの機能を担う。近年ではASDとの関連でも注目されているが、小脳の神経細胞ができる仕組みや機能の詳細は未解明だった。

ゼブラフィッシュの脳(紫色の蛍光がプルキンエ細胞)

研究チームは小脳だけに存在する特殊な神経細胞の「プルキンエ細胞」に着目し、熱帯魚のゼブラフィッシュで発生の仕組みを調べた。小脳の細胞で働く遺伝子を網羅的に分析し、プルキンエ細胞の発生に必要な「Foxp1b」などの4つの遺伝子を特定した。遺伝子を働かなくすると、プルキンエ細胞が正常にできなくなった。

ヒトやマウスの小脳にあるプルキンエ細胞の数や大きさが異常になると他者との交流を避けるASDのような症状が起きるという研究もある。日比教授は「Foxp1bはASDに関わる遺伝子としても知られる。ASDの発症とプルキンエ細胞との詳しい関係を調べたい」と話す。

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