主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が28日(日本時間29日)、イタリア・トリノで始まった。昨年の世界の平均気温は観測史上最高となり、各地で地球温暖化との関連が指摘される被害が相次ぐ中、踏み込んだ気候変動対策に合意ができるかが注目される。会期は30日まで。
昨年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、再生可能エネルギーの設備容量(発電能力)を2030年までに3倍にするという目標に合意した。また、各国は35年を期限とする温室効果ガス排出削減目標を25年までに国連に提出することが推奨されている。今回の会合ではCOP28の成果を踏まえ、30年、35年に向けたG7としての対策強化に加え、中国などG7以外の排出大国にどう削減を促していくかなどを議論する。
伊藤信太郎環境相は26日、閣議後の記者会見で、「世界全体で取り組みを推進するため、G7での連携がますます重要だ。G7の一員としてリーダーシップを世界に示すべく、議論に積極的に貢献したい」と話した。
日本が議長国を務めた昨年のG7首脳会議(サミット)では、天然ガスを含む全化石燃料の「段階的廃止」に初めて合意した。一方、近年のG7の会合では二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電の全廃期限が焦点になってきたが、日本の反対などで昨年も首脳宣言には盛り込まれなかった。
今回の会合でも、石炭火力の全廃期限を巡る議論が想定される。日本は30年度時点でも総発電量の19%を石炭火力でまかなう計画で、「エネルギー安全保障上、必要な石炭火力を使っていくことを各国に理解してもらう必要がある」(経済産業省幹部)として、全廃時期を明示することには合意できないという姿勢を崩していない。【山口智】
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