囲碁の七大タイトルの1つ「名人戦」では、9月に中国で開かれた国際大会で優勝して勢いに乗る挑戦者の一力遼三冠が、自身初の名人のタイトル獲得と四冠の達成をかけて、芝野虎丸名人に挑みました。
七番勝負は一力三冠がこれまで3勝2敗とリードしていて、第6局が千葉県木更津市で行われました。
2日目の31日は後手で白番の一力三冠が序盤に築いたリードを次第に広げる展開で、芝野名人も盛り返しを図って終盤まで粘りましたが、劣勢を覆すことはできず、午後5時41分に236手までで6目半の差で一力三冠が勝ち、4勝2敗で自身初の「名人」のタイトルを獲得しました。
これで、七大タイトルのうち「棋聖」「名人」「天元」、そして「本因坊」を保持し、史上6人目の四冠を達成しました。
対局後、一力さんは「ひとまずはほっとしている。ことしは難しい囲碁が多かったので、四冠を達成できたことは今の自分の実力からすると上出来だと思う。タイトルの防衛戦が続くので、そちらに気持ちを切り替えていきたい」と話していました。
一方で、敗れた芝野さんは「1日目は悪くない形勢だと考えていたが残念な結果になってしまった。まだことしは天元戦の挑戦もあるので切り替えて集中してやっていきたい」と話していました。
一力さん「名人は小さい頃から憧れていた特別なタイトル」
対局後の記者会見で、一力さんは今回の対局について「名人のタイトルは小さい頃から憧れていた特別なタイトルで、当時、インターネットの囲碁のアカウント名には『名人』とつけていたし、17年前に仙台で名人戦の対局を見たことがトップ棋士を目指すきっかけにもなりました。3年ぶりの名人への挑戦でしたが、もしきょう負けていたら日程的にも精神的にも苦しい展開になっていたと思うので、勝つことができて本当によかったです。以前は対局の直前までみっちり勉強していましたが、最近は水族館に行くなどしてオフを過ごして新たな気持ちで対局に臨めていることも結果に出ていると思います」と振り返りました。
そして、今後については「過去に七冠を達成した井山さんは今も三冠を保持しているし、今回名人戦で対局した芝野さんともタイトル戦での対局が続くので、まだまだ厳しい戦いは続くと思っています。一方で、世界戦には日本の代表として出場して勝ち、日本の囲碁のタイトルの価値を高められるようより責任感を持って勝ち進んでいきたい」と意気込みを語りました。
そのうえで、井山さんに続く七冠の達成について問われると、「まだあまり先のことを考える段階ではないので自分の中での大きな目標として持って囲碁を続けていきたい」と話していました。
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