会期最終日を迎えた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の会場=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月22日午前10時21分、山口智撮影

 アゼルバイジャン・バクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は22日、予定されていた会期の最終日を迎えた。ババエフ議長は同日、途上国で地球温暖化対策を進めるための資金(気候資金)の新たな成果文書草案を公表。妥協点を探る協議が続いた。

 COP29は、2025年以降の資金調達の方向性が最大の焦点で、目標額やドナー(出し手)の範囲などについて交渉を重ねてきた。専門家グループは会期中、中国を除く新興国・途上国への資金支援として、民間など多様な資金源を活用し、30年までに年1兆ドル(約155兆円)、35年までに年1兆3000億ドル(約200兆円)を調達することが必要との試算を示していた。

 22日の新たな草案では「途上国の気候変動対策のための資金を、35年までに官民合わせて少なくとも年1兆3000億ドルに拡大できるよう、全ての関係者に協力を求める」とした。そのうえで、先進国が主導して拠出することで「35年までに年2500億ドル(約38兆7500億円)」を新たな資金目標として設定するとし、先進国以外からの拠出も想定した内容になっている。

 気候資金の新たな目標は現行の「年1000億ドル(約15兆5000億円)」を下限とすることは決まっていたが、規模やドナーを巡って対立が続いた。21日の閣僚級の全体会合では、欧州連合(EU)の代表が中国などを念頭に「支払い能力のある全ての締約国が拠出することが必要だ」と主張。一方、途上国側からは「先進国はそろそろ(妥協できる)具体的な数字(金額)を提示すべきだ」(ホンジュラス代表)などと、先進国側の姿勢への不満の声が出た。【バクー山口智】

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