リュウグウの砂の表面で見つかった塩の結晶=松本徹・京都大特定助教提供

 探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料から塩の結晶を見つけたと、京都大や東北大などの研究チームが国際学術誌ネイチャーアストロノミー電子版に発表した。研究チームは、天体の水や材料物質につながる有機物の進化を考える上で重要な成果になるとしている。

 研究チームはリュウグウの砂を電子顕微鏡などで観察し、表面に最大で長さ約500マイクロメートル、幅20マイクロメートル、厚さ1マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)の結晶四つを発見した。結晶は岩塩のほか、ナトリウム炭酸塩、ナトリウム硫酸塩で構成されていた。塩の結晶は電子線に弱く、観察中に消失してしまうため顕微鏡の電子線を弱めるなどして観測に成功した。

 これまでの研究で46億年前、リュウグウの母天体には大量の塩水が存在していたと推定されている。しかし、塩水がどのように消失したのかは分かっていなかった。結晶は塩水の塩分濃度が高い環境で生成されるため、母天体の水は蒸発や凍結により消失したと考えられるという。

 また、結晶は火星と木星の間にある準惑星セレスや、土星の衛星エンセラダスの地下に存在する海水の塩分と構成が似ていることも判明した。京都大白眉センターの松本徹特定助教(地球外物質学)は「太陽系の海があるような環境での有機物の進化を考える上で重要な成果だ」と話した。【垂水友里香】

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