北海道大学の前田理教授や松岡和助教らの研究グループは、コンピューターの計算で金属の触媒を探索する手法を開発した。金属触媒は複数の金属原子とイオンや分子で構成され、組み合わせが非常に多い。目的の反応を起こす組み合わせを見つけるまで実験を繰り返す必要があった。触媒開発の時間を短縮できる。
金属のうち遷移金属と呼ぶグループの元素を触媒に使う有機化学反応は、医薬品の合成などに利用する。反応で中心的な役割を担う遷移金属と、反応性を調整する「配位子」からなる。触媒の機能は金属と配位子の組み合わせで決まる。だが目的の反応に適した組み合わせが見つかるまで実験を繰り返す必要があった。
研究チームはコンピューターで配位子が触媒の反応性に与える影響を計算できるようにした。目的の化学反応に適した配位子の特徴が分かる。結果をもとに開発方針を決めてから触媒を設計すれば、開発時間の短縮につながる。
新しい手法で従来よりも優れた性能の触媒を発見できた。これまで実現できなかった化学反応の発見につながる可能性がある。
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