三菱電機の漆間啓社長は東京都内で報道各社の取材に応じ、主要事業のパワー半導体について「他社との再編を積極的に進めていく」と述べた。同社のほか東芝、ロームなどがパワー半導体を手掛けるがドイツ企業に水をあけられている。日本勢の再編によって競い合えるとの認識を示した。
漆間氏は「再編のタイミングは早いほどいい」と述べた。パワー半導体には、複数の部品をまとめた「モジュール」と、単機能の「ディスクリート」の2種類がある。三菱電機はモジュールタイプに強く、「再編により、(足りない)ピースをそろえることが重要だ」との考えを示した。
英調査会社のオムディアによると、パワー半導体の世界シェアは独半導体大手インフィニオンテクノロジーズが23%を占めて首位だ。20億ユーロ(約3200億円)を投じた新工場をマレーシアで稼働させるなど投資も増やしている。
日本勢は三菱電機や東芝、ローム、富士電機など各社のシェアを足して17%。「個別の企業では投資額で負けているが、日本企業同士が勝とうとすれば必ずインフィニオンに追いつく」と漆間氏は強調した。
東芝とロームは23年12月にパワー半導体の共同生産を始めると発表した。一般的な半導体に使われるシリコン製は東芝、省エネ性能が特徴の炭化ケイ素(SiC)はロームが生産し、お互いの強みを生かす。
三菱電機はパワー半導体事業に2026年3月期までの5年間で2600億円を投じる計画を掲げ、25年11月に熊本県で新工場が稼働する。電気自動車(EV)の販売が世界で減速しているが、漆間氏は「EVシフトは着実に進んでおり、稼働時期に変更はない」と述べた。
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