東京大学などの研究グループは世界一正確な「光格子時計」の小型化に成功した。体積を従来の約4分の1に当たる250リットルに抑えた。輸送と設置が容易になり、用途の拡大が見込める。
光格子時計は現在の「1秒」の定義であるセシウム原子時計よりも精度が100倍以上高く、誤差は300億年に1秒にすぎない。光が振動した回数を数えて時間を計る。他の次世代時計はスイッチをオンにしてから精度が十分高まるまでに時間がかかるが、光格子時計は直ちに高い精度で時を刻む。東大の香取秀俊教授が発明した。
場所による重力の大きさの違いで生じるわずかな時間の遅れを検知でき、高度計や位置情報システムへの応用が検討されている。2030年ごろをめどに再定義される「1秒」の基準の候補にも挙がる。
課題とされてきたのが装置の大きさだった。装置が大きいと設置場所を増やしたり、車や人の手で輸送したりするうえで不利になる。
香取教授らの研究グループは時計の構造の見直しを進め、従来920リットルあった体積を250リットルに縮めた。光格子時計が必要となる場所への設置のハードルが下がり、商業展開に近づいた。理化学研究所、島津製作所、日本電子と共同研究した。数年以内の実用化を目指しているという。
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