原発の運転で生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選びで、実務にあたる原子力発電環境整備機構(NUMO)は30日、第1段階の「文献調査」を国内で初めて終えた2町村のうちの北海道寿都町で、町民を対象にした調査報告会を開いた。

  • 核のごみ処分場選定、先行き不透明 北海道知事「反対に変わりない」

 寿都町での文献調査は、近隣の神恵内村とともに2020年から開始。今年11月22日には、寿都町の全域と神恵内村の一部が、試掘などをする第2段階「概要調査」の候補地だとする報告書がまとまった。

 30日の説明会でNUMOは、寿都町には、地中300メートルより深く埋めた核のごみが処分場の外に漏れ出す恐れがあるため「避けるべきだ」とされる活断層や火山活動、地盤の隆起や侵食は「ない」と説明した。

 説明会に参加した49人の質問や意見は、用意された紙に書き込み、それをNUMO側が読み上げて回答。「神恵内での説明会は4回あるのに寿都は1回だけなのはなぜか」との質問には、説明会の回数は首長や役場と協議して決めたとし、「寿都では町主催の勉強会が予定されているので、その場へもNUMOが出席して説明する」と答えた。

 ある参加者からは「自分の質問がだいぶ端折られている」との声も飛んだ。読み上げられた中には、NUMOの説明に対して「『文献(調査)では(詳しく)分からないので概要に』との誘導を感じる」という声もあった。NUMOは、会場で答えられなかった質問も含めホームページに回答を掲載するとしている。

 NUMOは今後、12月6~7日に神恵内村、13~14日に札幌市など、道内外で説明会を開いて最終処分への意見を募り、その概要とNUMOとしての「見解」を公表する。

 並行して寿都町は12月、概要調査に進むと何が行われるかをNUMOが説明する町主催の「勉強会」を、町内7カ所で開く。

 今後の焦点は概要調査に進むかどうかだ。進むには、知事と、寿都町長または神恵内村長の同意が必要になる。ただ鈴木直道知事は「核のごみを道内に持ち込ませない」とする道条例を根拠に一貫して反対していて、先行きは不透明だ。

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