生成AI(人工知能)の利活用に主眼を置いて国が策定を進める「知的財産推進計画2025」について、日本新聞協会は18日、内閣府に意見を提出した。現行の法体系が生成AI時代に沿ったものと言えず、「著作権などの知的財産権と生成AIを巡る懸念やリスクがふっしょくされていない」などと指摘。著作権法改正などの法整備を求めた。
内閣府は計画策定に向けて10月に構想委員会を立ち上げ、「2030年から40年を見据え、AIの利活用について議論する」などとしている。
新聞協会は、前年の知財計画が積み残した課題として「著作権法をはじめとする法整備は不十分であり、権利者とAI事業者の契約は進展しておらず、現状では三者の補完関係は機能していない」と指摘。特に生成AIを用いたネット検索のサービス(RAG)について「新聞記事を含む『寄せ集め』を提供するもの」で「コンテンツ発信者の収益機会を不当に奪っている」と懸念した。協会の今年9月の調査では、生成AIの回答の出典を必ず見る人は1割にとどまったという。
知的財産を十分保護しないまま生成AIの発展を促せば報道機関は取材体制を維持できないと危惧し、「ニュースの担い手の機能が低下すれば国民の『知る権利』を阻害しかねない」とした。
社会問題化しているフェイク情報の拡散についても「無秩序なデータ収集・学習利用による生成AIの構築が偽・誤情報の発信を容易にしている」とした。同協会の調査では、生成AIサービス利用者の約6割が「誤った回答が表示された経験を持つ」という。その上で知的財産の保護を強化し、権利者の同意を得た質の高いデータをAI開発に用いることがフェイク情報対策に有益だとした。
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