クラウドのインフラへの投資やAI人材育成について記者会見するAWSのプリシラ・チョン・シンガポール責任者(中)

【シンガポール=谷繭子】米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は7日、シンガポールのクラウド関連設備に2028年までに120億シンガポールドル(約1兆3700億円)を投資すると発表した。デジタル化で人工知能(AI)の導入が加速するなか、データセンターの機器刷新など最新鋭のインフラで顧客の需要に応じる。

投資額はデータセンターの建設や運営、保守にかかる費用が含まれる。データセンターを新設するかの計画については、「将来」(AWSのシンガポール責任者、プリシラ・チョン氏)とだけ述べ詳細は明言しなかった。

チョン氏は記者会見で、シンガポールには世界の大手企業が進出していると指摘し、投資拡大で「東南アジアの玄関口としての役割を固める」と述べた。

同国での生成AIなどの普及に向けて政府と協力する計画も立ち上げた。中小企業・スタートアップや公的機関へのAI導入の促進、AI教育、専門家育成などに取り組む。大学や職業訓練校などと提携し、26年までの3年間で計1万5000人のAI人材を育てる。

28年までの投資により、シンガポールの国内総生産に237億シンガポールドル貢献すると試算する。AWSは10年、シンガポールで同社にとって欧米以外で初のクラウドサービス拠点を置き、これまでに115億シンガポールドルを投資した。今後5年で同国への累計投資額は倍増することになる。

東南アジアは若年人口が多くスタートアップが急成長している。AWSはマレーシアでも37年までに60億米ドル(約9300億円)を、タイではデータセンターの新設などに50億ドルを、それぞれ投資する計画だ。

米マイクロソフトも4〜5月、マレーシアのクラウド・AIに22億米ドル、インドネシアでは17億米ドルを投資し、タイにはデータセンターを新設する計画を発表した。

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