米ウッズホール海洋研究所やマサチューセッツ工科大学は、海にすむイカやクラゲなどの軟らかい生物に医療用素材が貼り付くのを確かめた。生態調査用の小型機器を生物に取り付けるのに使える。気候変動や人間の活動が生態系に与える影響の調査に役立つ。
陸や海の生物にカメラやセンサーを取り付けて生態を調べる手法を「バイオロギング」と呼ぶ。海の生物に機器を取り付ける時には接着剤や吸盤を使うが、生物を傷つけたり行動を変えたりする恐れがあった。
研究チームは傷の治療向けのハイドロゲルが海水中で使えることを実験で確認した。約90秒でイカにセンサーを取り付けられる。従来は最大で10分間、イカを水から出して作業する必要があった。ゲルは軟らかく、生物の行動を邪魔しない。最長で3日間接着できる。
ゲルがイカやクラゲ、エイ、ヒラメなど18個体の海にすむ生物に付くのを屋内実験で確認した。ポルトガルのアゾレス諸島で海にすむヤリイカの一種にも貼り付けられた。
これまでバイオロギングは大型の生物向けが多かった。医療用ゲルを応用すればセンサーの取り付けが難しい小さくて軟らかい生物も調べられる。
マサチューセッツ工科大のカミロ・ロンドーニョ氏は「小型の海洋生物は海洋バイオマスの大部分を占める。炭素隔離との関連にも注目が集まる」と期待する。研究成果を英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。