中国・安徽省のサファリパークで、絶滅危惧種に指定されているアムールトラ20頭など多くの動物が変死した疑いがあるとして、当局が調査に乗り出した。国営新華社通信が報じた。このサファリパークを取材した中国メディアは、飼育環境が劣悪だったと指摘している。

 雑誌メディア「中国慈善家」が13日、同省阜陽市のサファリパークの飼育環境の実態を告発する記事を公開した。それによると、同園ではアムールトラを許可なく違法に展示したり、人工繁殖させたりしていた。2019年以降、アムールトラのほか、アフリカライオン2頭、キリン3頭が死んだという。

 記事によると、同誌の記者がサファリパークを訪れた際に動物の子どもの死骸が冷凍庫内に積み上げられ、生き残っていたアムールトラも1.5メートルほどのおりの中で飼育されるなどしていたという。同誌はサファリ内の内紛により、従業員の賃金が支払われなかったり、水や電気の供給が止められたりしたとする当事者の声を紹介。「経営権をめぐる争い」が無責任な飼育につながったとしている。

 アムールトラは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅危惧種に指定されている。シベリアや中国の森林に生息し、推計500頭程度しかいないとされる。

 報道を受けて、市当局は調査チームの立ち上げを発表。「法令に従って、動物を徹底的に保護し、関係者に対して厳正に責任を問う」としている。(上海=小早川遥平)

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