学術論文の分析などを手掛けるクラリベイト・アナリティクス・ジャパン(東京・港)はこのほど、先端研究領域で大きな影響力を持つ研究者を「ジャパンリサーチフロントアワード」として選出した。山梨大学国際流域環境研究センターの原本英司教授や、京都大学の畠山琢次教授など国内の研究機関に所属する11人が選ばれた。
2018年から23年10月に学術誌に掲載された論文のうち、ほかの論文からの引用数が上位1%の約12万本の論文を分析した。引用された論文の組み合わせに着目し、今後発展が期待される約1万2千の研究領域を特定した。
そのうち、日本の貢献が大きく、ここ2年で引用が急増した11の領域の研究者に授賞した。原本氏は、東京大学の北島正章特任教授とともに「下水疫学」の領域で受賞した。下水試料を用いて新型コロナウイルス感染症などの流行状況を監視する手法は、すでに一部の自治体で実用化されている。原本氏は「成果を社会に貢献できるよう研究に取り組んでいきたい」と語った。
畠山氏は「多重共鳴型TADF材料による高効率・高色純度有機ELデバイスの開発」の研究で受賞した。多重共鳴型材料はスマートフォンなどに使われているが、色の純度や発光効率が高いTADF材料はまだ研究段階だ。畠山氏は「受賞を励みにさらに研究を進めていきたい」と話した。
そのほか東北大学の藤江健太郎准教授、九州大学の安田琢麿教授、大阪大学の久木一朗教授、東京大学物性研究所の川畑幸平准教授らも受賞した。同アワードの選出は16年以来で5回目となる。
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