シートベルトの着用義務が定められてから、間もなく40年が経過する。 日常で当たり前に装着するシートベルトは、正しい知識を持って正しく装着することが重要だ。忘れがちなシートベルトの使い方を、様々なシチュエーションで確認していこう。
文:佐々木 亘/写真:AdobeStock(トップ画像=M&M Factory@AdobeStock)
■たるみやねじれはない? 正しい着用で初めてその身は守られる
シートベルトはただ着用すればいいというものではない。着用の仕方が誤っていると、事故時に大きな怪我を負う可能性もあるのだ。
正しく着用することで、交通事故被害を大幅に軽減できるのがシートベルトである。まずは、以下の5点に気を付けて、シートベルトを日常から正しく装着してほしい。
1.シートに深く腰掛け、体を斜めにせず前方を見通せる姿勢にする
2.肩ベルトが首にかからないようにする。肩ベルトがたるまないようにする
3.ベルトのねじれが無いようにする
4.腰ベルトはお腹ではなく骨盤に巻くようにしっかりと締める
5.バックルの金具は確実に差し込む
これらを守って初めて、シートベルトはしっかりと機能してくれる。特に肩ベルトが首にかかる、緩く巻いているといった状況は、思わぬ怪我を引き起こす場合があるのだ。正しい装着と共に、シートベルトの高さを調節するといった、環境づくりも大切である。
■お腹の大きな妊婦さんもシートベルトはした方がいい?
体重50kgの人が後席に乗っていて、時速40kmで衝突すると、乗員にかかる衝撃は体重の30倍ともいわれる。この場合は1.5トンの衝撃。こうした大きな衝撃が、母体と胎児に加わるからこそ、妊娠中もシートベルトはできるだけ着用した方が良い。
着用の仕方は、基本的に一般的な乗員と変わらないが、ベルトの通り道などには注意が必要だ。まずは、シートの背をあまり倒さずに深く腰掛け、腰ベルトと肩ベルトがある3点式のシートベルトを着用してほしい。
腰ベルトのみの2点式シートベルトの着用は、事故時に上体が屈曲して腹部の圧迫を招く恐れがあり危険なので、着用は控えた方が良いだろう。
また、肩ベルトや腰ベルトは腹部を横切らないように装着してほしい。肩ベルトは肩から胸の間を通し、腹部を避けて体の側面に通す。腰ベルトは子宮のふくらみを避けて、腰骨のできるだけ低い位置でしっかりと締めること。これが基本の付け方となる。
ただし、妊娠の状態は個々人によって異なるため、シートベルトを着用することが健康保持上適切かどうかは、医師に確認してほしい。適当でない場合は、シートベルトを着用しなくても良いことになっているので、この辺りは専門家と相談することが重要である。
道路交通法施行令第二十六条の三の二には、座席ベルトおよび幼児用補助装置に係る義務の免除が示されている。
「負傷もしくは障害のため又は妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが療養上又は健康保持上適当でないものが自動車を運転するとき」は、シートベルト着用の義務が免除されると記されているので、何が何でもシートベルトをしなければならないというわけではない。
また同項では、他にも装着義務を免除されるケースが定められており、座高が高すぎる・低すぎる場合や著しく肥満していてシートベルトを装着できない場合や、クルマを後退させる際には、シートベルトの装着義務は発生しないとしている。
他にも、消防用車両を運転する場合、郵便物の集配業務中の必要な区間にいる場合、警察が被疑者を逮捕した場合、警察用自動車に護衛され誘導されている場合なども、装着義務の適用範囲外だ。身近なところでは、選挙の候補者も、選挙カーでの選挙運動中はシートベルトを装着する義務を負わない。
正しく使えば、事故被害を大きく減らせるシートベルト。今のあなたに合った正しい使い方を確認して、安全確実に装着して欲しい。
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