いすゞは、バッテリーEV路線バス『エルガEV』を5月28日より発売する。エルガEVは、EVパスでは国内初となる車内フロアのフルフラット化を実現し、公共交通におけるカーボンニュートラルの実現に貢献する。

日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を掲げており、脱炭素化への取り組みはバス事業者にも求められている。いすゞは、決められたルートを走行する路線バスにおいて、BEVがカーボンニュートラル対応の動力源として有力な選択肢の一つであると考えている。また、2025年4月に開幕する「2025年日本国際博覧会(大阪万博)」に向けて、国産の先進BEV路線バスへの期待も高まっている.

エルガEVは、左右の後輪それぞれにモーターを内蔵した「インアクスルモーター」を採用し、通常は左右輪の間にあるアクスルを廃することで、フロアを低床化した。加えて、バッテリーパックを屋根上と車体後部の床下に配置することで、車内フロアレイアウトの自由度が高まり、車内前部の乗降口から最後部座席まで段差のないバリアフリー化を実現した。さらに、BEVがもたらすスムーズな加速感と低騒音・低振動が相まって、快適性も向上している。

また、従来のディーゼルエンジンモデル「エルガ」と同等の動力性能を確保しながら、路線バスで使用される航続距離をカバーしている(30km/h定速で360km)。国内主流の350Vで充電できる高電圧バッテリーを採用し、3.2時間で20%の残量から80%まで充電可能だ。災害時には救援車として、エルガEVから電力を取り出す外部給電機器と接続し、家電機器などに電力供給も可能だ。

いすゞは、エルガと親和性のある運転席周辺のメーター機器類や、BEVでありながらクリープ走行を可能にするなど、従来の内燃機関車と同等の操作性を確保し、一日に様々なバスを乗り換えて運転するドライバーの負荷軽減に配慮した。先進安全機能では、ドライバーステータスモニターでドライバー異常を検知して、ドライバー異常時対応システムが作動すると、車両が停止した後に自動でパーキングブレーキが作動し、坂道などでも安全に車両を停止させる機能を国内路線バスで初めて採用した。さらに、車外事故低減に向けて、自車前方の歩行者・自動車を検知し、ドライバーへ通知するフロントブラインドスポットモニターを装備している。

また、バスとしては初めて、いすゞ独自のコネクテッド技術を活用した、遠隔で車両コンディションをモニターできる「プレイズム」を採用。事業者は自社のオフィスのPCでバッテリー残量、航続可能距離、充電状態などBEV運用に欠かせない情報を把握できる。いすゞのデータに基づく予防整備や故障検知により高度純正整備が可能となっている。

エルガEVの乗車定員は70名で、価格は税込みで6578万1980円となっている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。