いすゞ自動車は、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(会期:5月22~24日、会場:パシフィコ横浜)に出展し、カーボンニュートラル(CN)への取り組みや、車両提供にとどまらない新しい価値創造を紹介した。
◆CN社会の実現とドライバー不足解決に貢献を目指す
今回のメイン展示として出展したのは、車両総重量(GVW)3.5t未満の小型BEVトラック『エルフmio EV』。いすゞの商品開発の基盤である「I-MACS(Isuzu Modular Architecture and Component Standard)」を用いることで、車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化。先進的な安全装備および運転支援機能を搭載することで、多様なドライバーに対応する。
中でもポイントとなるのが、エルフmio EVを、資格所有者が多い普通AT限定免許で運転できる車両としたことだ。それだけに会場は多くの人であふれ、ブース全体を撮影するのも難しいほど。普通AT限定免許で運転できる小型トラックへの関心の高さがうかがい知れた。
エルフmio EVのベースとなっているのは、先行して登場した総重量5tの「エルフEV」であるが、サスペンションを変更するとともに、モーター出力のほか、バッテリーを40kWhに抑えることで車体を軽量化。一充電での走行距離は115km(WLTCモード)にとどまるが、近距離輸送で活用することでCN社会の実現と、ドライバー不足解決に貢献することが期待される。
会場では、I-MACSに基づいた車体フレームを出展し、バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」による、ユーザーのニーズに合わせた“選べるCN”を提案。CN社会における新たな価値創造への挑戦の一環として、効率的な稼働や再生可能エネルギーの有効活用、社会課題の解決に貢献する状況を披露した。
◆EV以外に「ICEV」と「FCV」を加えたマルチパスウェイで取り組む
いすゞが目指す内燃機関車両(ICEV:Internal Combustion Engine Vehicle)をはじめとする、マルチパスウェイの実現を目指している状況もパネルを使って紹介した。
ICEVについては、積荷や走行距離などの関係により、内燃機関車両による輸送が最も高効率となる領域がある。その実現のためにいすゞが取り組んでいるのが、合成燃料やバイオ燃料などのCN燃料を活用した輸送効率とCNの両立だ。
その具体的な取り組み事例が、腐食油や廃動植物などを原料として製造されるバイオ燃料の一種「リニューアブルディーゼル」を活用するもので、すでに建設・輸送分野での実証を進めているという。また、e-methane(合成メタン)を製造する実証事業を進めていることも明らかにした。
電動化については燃料電池自動車(FCV)で取り組む姿勢をパネルを使って紹介した。
いすゞは、航続距離が長い大型トラックにとって、エネルギー密度が高い水素を燃料とするFC技術の活用が有効と考えている。すでにホンダとの共同研究を進める中で、燃料電池大型トラック「GIGA FUEL CELL」の公道実証走行を昨年12月から開始。2027年の市場導入へ向けたデータの取得、知見の蓄積、技術的課題の抽出などを進めているところだ。
また、小型FCVトラックではトヨタと共同開発を進めており、すでに福島県、東京都、福岡県の水素利活用都市で、社会実装活動を進めている状況にあるという。
◆自動運転は無人での走行が可能なレベル4を目指す
一方、いすゞは自動運転技術についても積極的に取り組む。その中で実用化に向けて取り組んでいるのが、無人での自動運転が可能なレベル4相当の自動運転で、技術開発と実証実験を継続し、閉鎖空間から段階的に事業化へ移行していく考えだ。また、経済産業省・国土交通省による自動運転社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」における活動にも参画し、高性能センサーと制御システムを搭載した大型トラックの自動運転車両を開発している。
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