中国の新興EVブランド、小鵬(シャオペン)が2024年1月に発表したフラッグシップミニバン、X9に試乗できる機会に恵まれた。まるでフランス車を思わせるようなその乗り味についてお届けしよう。
文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生
■小鵬ブランドのフラッグシップミニバン
そもそも小鵬は2017年に創業されたばかりの新興メーカーで、上海蔚来汽車(NIO、2014年創業)、理想汽車(2015年創業)の2社と並んで中国新興EVメーカーの「御三家」ともいうべき立ち位置のブランドだ。
ライバルとなる理想汽車のミニバン、MEGAに試乗した際のインプレッションはすでにお届けしているのだが、こちらのX9はさらにミニバンとして洗練された仕上がりになっていた。
X9は3列シートの7人乗りミニバンで、そのボディサイズは全長5293×全幅1785×全高1988mm、ホイールベース3160mmと理想汽車のMEGA(全長5350×全幅1965×全高1850mm、ホイールベース3300mm)よりもひと回り小さい体躯となっている。
X9のホイールベースは3160mmと長いのだが、後輪操舵のシステムを持っていることもあり、狭い市街地での切り返しなど小回りのよさが日本のユーザーにも響くかもしれない。
ちなみに中国国内での価格は35万9800~41万9800中国元(約720万~845万円)。理想のMEGAが60万中国元(約1260万円)であることを考えると、割安な設定のようにも思える。
モーターは最高出力503ps、最大トルク65.3kgmという強力なバッテリーを搭載。理想MEGAのバッテリー最高出力は543ps、最大トルクは55.3kgmと考えるとトルクの強大さが際立つ。
シングルモーター(FF)とデュアルモーター(4WD)の2種類を設定。ほかにも競合モデルとしては価格的に日本のアルファード/ヴェルファイアに加え、レクサスLMやメルセデスベンツVクラスなどがターゲットとなる。
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■ドライバーズミニバンとしての性格が明確に!
さて、実際に試乗した際のインプレッションだが、理想のMEGAがどちらかといえば2列目シートの乗員を中心にしたミニバンだったのに対し、こちらの小鵬X9はドライバーズミニバンともいうべき対照的な性格だった。
というのもこの小鵬X9、ミニバンには珍しく走りのアイテムが豊富に採用されていたからだ。アクティブリアホイールステアリングシステムに加え、エアサスペンションを標準採用しているのだ。
で、ハンドルを持ってさっそくテストドライビングしてみたのだが、これがまた乗り心地のよさが際立っていた。運転席と2列目シートの両方に乗ってみたが、エアサスの制御が絶品。
理想のMEGAと小鵬X9の2列目シートでの快適性を比較してみたのだが、それについてはMEGAに軍配が上がった。だが、X9の真骨頂は運転席でステアリングを握った際にあったのだ。
フランス車の乗り心地を表現する際、よくシトロエンは「雲に乗っているかの如き乗り味」と形容されるのだが、この小鵬X9はまさにその形容が当てはまる印象だった。そう、こちらは2列目以降に乗るミニバンではなく、積極的にドライバーとしてステアリングを握りたくなるようなクルマだった。
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