現行モデルの日産「スカイライン」が登場したのは、2014年2月のこと。登場から10年、そろそろ次期型の登場が期待されるタイミングです。
星野朝子副社長が「日産自動車はスカイラインを決して諦めない」とするなど、次期スカイラインのプロジェクトとは進んでいると思われ、パワートレイン含め、どんなモデルを目指して開発が進んでいるのか、ファンとしては期待と不安が高まります。そこで、次期スカイラインはどのようなモデルとなるのか、スカイラインファンの筆者が、あまり理想は含めず、ごく冷静に考えてみました。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
デザインは「ビジョンQe」がベースとなる!??
日産(含インフィニティ)はこれまでに、次期スカイラインを匂わせるコンセプトモデルをいくつか発表しています。そのひとつが2018年1月の北米自動車ショーで発表した「Qインスピレーションコンセプト」です。
ホワイトなボディカラーが眩しいこの中型セダンは、可変圧縮比エンジンのVCターボを搭載したモデル。日産(インフィニティ)は当時、Qインスピレーションコンセプトについて、最先端の自動運転技術と、夢の可変圧縮比の4気筒エンジン「VCターボ」の両方を搭載した、次期プレミアムセダンだとしていました。純白でモダンな印象のエクステリアデザインは4ドアクーペのようなスタイルで、ボディサイドのキャラクターラインや、エッヂの効いたボンネットラインなどからは現実味が感じられ、いますぐにでも市販化されそうなモデルでした。
その後、2023年10月には、100%電気自動車(バッテリーEV)のコンセプトカー「ビジョンQeコンセプト」を発表、2024年2月のカナダ国際オートショーで実車が出展されました。こちらはブラック基調で流麗で低くワイドなフォルムに、「デジタルピアノキーライト」という発光グラフィックを採用した4ドアファストバックセダン。全長5m近いEセグメントのラグジュアリーカーのようで、高級GTカーとしてスカイラインが築き上げたイメージにピタリと合致するように思います。
おそらくですが、2018年のQインスピレーションコンセプト発表当時、VCターボエンジン推しであった日産は、VCターボをインフィニティにも拡大採用しようと次期プレミアムセダンとしてQインスピレーションコンセプトを発表したところ、インフィニティの主戦場である北米市場が、その後急激なバッテリーEV志向となったことで、Qインスピレーションコンセプトを諦め、バッテリーEVのビジョンQeコンセプトを発表する、という経緯になったのでしょう。今後は、このビジョンQeコンセプトのデザインをベースにしたフラグシップカーが、次期「スカイライン」として投入されるのではないでしょうか。
スカイラインの中古車をもっと見る ≫パワートレインは、直4VCターボの新型e-POWERも!??
ただ、パワートレインに関しては、Qインスピレーションコンセプトでも採用されていた直列4気筒VCターボを発電用エンジンとして搭載するハイブリッド(e-POWER)も登場すると考えています。e-POWERといえば、ノートなどの小型車向けの1.2L直3エンジンのe-POWERと、エクストレイルなどのミドルクラス向けの1.5L直3 VCターボのe-POWERがありますが、この上に、ハイパフォーマンス型e-POWERとして、現行の北米アルティマに搭載されている排気量2.0LのVCターボ(エンジン単体の最高出力は248HP、最大トルク370Nm)によって最大出力300PS級の高出力に対応する、2.0L直列4気筒VCターボの新型e-POWERを開発し、次期スカイラインに搭載してくるのではないでしょうか。
加えて、次期スカイラインには電動の4輪駆動システムe-Axleが搭載されると考えています。e-Axleにしてしまえば、プロペラシャフトが不要となるため、後席中央のセンタートンネルの高さを下げることができるほか、電気信号で前後の駆動トルクバランスを制御することで、4WDの安定感を得ながら、後輪駆動車のような軽やかなハンドリングを実現することができ、日産が大切にしているスカイラインらしい走りをつくり込むことが可能となります。
全個体電池採用のBEVグレードもあるのでは!??
この直4VCターボの新型e-POWERに加えて、ビジョンQeコンセプトで発表しているとおり、次期スカイラインではバッテリーEVのグレードも設定されるでしょう。
日産は、長期ビジョン「NISSAN AMBITION2030」において、2030年度までに19車種のEVを含む27車種の電動車を導入し、日産とインフィニティの両ブランドをあわせてグローバルに電動車のモデルミックスを55%以上とすることを目指すとしています。
このなかに日産を代表するモデルであるスカイラインが含まれる可能性は高く、日産はまた、全個体電池(ASSB)についても、あと4年弱のうちに自社開発した全固体電池を搭載したバッテリーEVの市販車を実現させるとしており、その市販第一弾にスカイライン(の次期型)が選ばれるというのも十分に考えられるからです。
思い返せば、同一車線でのハンズオフ機能を国産車で初めて搭載した「プロパイロット2.0」もスカイラインから採用するなど、日産はこれまでも新たな技術をスカイラインから搭載するケースが多かったように思います。はたして、次期スカイラインはいつどのような姿で登場するのか!?? いちスカイラインファンとしてその日が非常に待ち遠しいです。
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