つい先日、スバルの水平対向エンジンにトヨタのハイブリッドシステム、THSIIを組み合わせたストロングハイブリッドの次世代e-BOXERを公開したスバル。期待の新型フォレスターはこのハイブリッドに加え、最新の騒音低減技術が採用される見込みだ。
文:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生/写真:スバル
■騒音低減技術で浅原賞学術奨励賞を受賞
2024年5月24日、スバルは公益社団法人自動車技術会から「浅原賞学術奨励賞」として同社の阿部啓介氏(スバル/神奈川大学)が受賞したことを発表した。
自動車技術会賞は自動車工学及び自動車技術の向上発展の奨励を目的として1951年に創設され、公益社団法人自動車技術会より自動車技術における多大な貢献や功績を認められた個人に贈られている。
その受賞テーマは「振動エネルギー伝搬分析に基づく車体骨格特性の要件化に向けた基礎健闘」。同学会では、阿部氏の受賞理由として次のように挙げている。
「電動車で顕在化するロードノイズをはじめとする固体伝搬音は、周波数が広帯域にわたるため、効率のいい低減策が求められる。本研究では定在波(モード)が形成される前の進行波の流れに着目し、瞬時振動インテンシティによるエネルギー流れを可視化する解析技術を開発し、発音に寄与する車体パネルの特定を可能とした。さらにそのエネルギーを発音体へ伝えないことが車内音の低減に有効である考えのもと、エネルギー伝搬のコントロールを意図した車体骨格の要件化手法を提案した。これらは従来困難であった電動車で特徴的ともいえる広帯域にわたる騒音を効率よく低減させる新しい分析コンセプトの確立へ貢献するものであり、受賞者の今後の活躍が期待される」
つまり、ハイブリッドやバッテリーEVなど電動車のモーター走行時においては、従来エンジン音に埋もれていたロードノイズやモーター音などの不快な騒音がより目立つようになる。
今回の研究では、従来困難であった幅広い周波数帯の騒音低減に寄与する車体パネルの特定と車体骨格に関する要件定義の手法を構築するものだが、本研究の成果はすでに新型フォレスターの開発にも活用されているという。
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■新型フォレスターのWLTCモード燃費は20.0km/L突破か?
新型フォレスターはすでに北米では2023年11月に発表され、新型6代目モデルが今春から発売となっている。日本導入時には、クロストレックと同じく次世代e-BOXER車が設定されることはすでにアナウンスされている。
スバルは2024年度3月期決算発表の場で、次世代e-BOXER用のトランスアクスルについては2024年秋から生産開始することを明らかにしており、また2025年から次世代e-BOXER車を本工場と矢島工場で生産するとしている。
矢島工場では新型フォレスターやクロストレックの次世代e-BOXER車を生産することになっており、今後は北米向けの同モデルも同工場で生産される予定だ。
2Lマイルドハイブリッド「e-BOXER」を搭載する現行型フォレスターのWLTCモード燃費の数値は14.0km/Lにとどまるが、これがTHSIIを採用した次世代e-BOXERを採用するとどこまでアップするのかが気になってくるところだ。
直4、2.5LのTHSIIを採用する現行RAV4ハイブリッドがWLTCモード燃費20.3~21.4km/Lをマークすることを考えれば、新型フォレスターも20km/Lの大台をクリアすることは充分可能だろう。
今後、新型フォレスターやクロストレック以外にもこの次世代e-BOXERが採用されればスバルにとって懸念されていたCAFE(企業平均燃費)クリアの道筋も見えてくる。
2024年秋には国内でも発表されるとみられる新型フォレスター、その注目すべきポイントは「燃費」と「乗り心地」のふたつになる。今から楽しみにして登場を待ちたいところだ。
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