世界には様々な自動車オークションが存在し、自動車好きが驚く話題が生み出されている。衝撃な値段での落札されるクルマや、希少車の発見などだ。そして2024年、また希少なクルマが出品された。マクラーレンが作った伝説のスーパーカー、マクラーレンF1である。
文:古賀貴司(自動車王国)/写真:ベストカーWeb編集部
■超高級マテリアルで作られた伝説のスーパーカー
サザビーズがアメリカ・ニューヨークで開催している「Sealed」というオークションにマクラーレン F1が出品されている。走行距離が400㎞に満たない上に超希少色という珍しい車両だ。
“封印された”という意味を持つ「Sealed」は、名前から分かる通り非公開オークションだ。故にこの個体の落札価格が明らかになることはないが、この興味深い車両について分かっている情報を整理してみたい。
まずマクラーレンF1というクルマは、F1トップチームとしての経験をもとに、最先端の技術を採り入れ、一切の妥協をすることなく高価な素材(カーボンファイバー、ケブラー、チタン、マグネシウム、金)が惜しみなく投入されたモデルだ。海外のオークションでは常に高値が付くことでも知られている。
■25番目に生産されたシャシー番号029のマクラーレンF1
出品された車両はクレイトン・ブラウンという珍しい外装色で、F1ロードカープログラムが考案された当時のマクラーレンのコマーシャル・ディレクターにちなんで命名されたものだ。ちなみにクレイトン・ブラウンは1970年代にモーターレースの世界に足を踏み入れ、1978年末にはプロジェクト・フォーに参加。その時代、マクラーレンはコンストラクターズタイトル7回、ドライバーズタイトル8回を獲得している。
次に車両のシャシー番号。これは029で、25番目(1994年12月に完成)に生産されたロードカーとなる。
このクルマは日本人が発注したもので、1995年に日本人オーナーに納車され、一度も日本国内で登録されることなく保管されてきた。サザビーズの車両解説には記載されていなかったが、2001年に日本のアートスポーツにて委託販売されたことがある。
結局買い手がつかずにオーナーに出戻ったと聞く。2012年、アートスポーツが車両を購入し、2013年に仲介業者がアメリカ人コレクターに販売した。
■2021年に2046万ドルで落札されたクルマは果たしていくらに…
その際の売買にまつわるメール、通関時に必要な書類、アメリカでの登録に必要な整備明細一式などは公開されているので、ちょっと目を通してみる。
日本から送り出したのはビンゴスポーツで、輸出時に必要なインボイスには車両価格5億9000万円と記載されている。
その後、このシャシー番号029は、2021年にグディング&カンパニーがペブルビーチにて開催したオークションに出品された。おそらく世界で最も走行距離が少ないマクラーレンF1、唯一無二のボディカラーを纏っている、という評価材料もあって、マクラーレンF1史上最高の2,046万5000ドルで落札された。
そしてそこから3年。我々は知ることはできないが、一体いくらで取引されるのだろうか…。
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