5月22日〜24日にかけて東京ビッグサイトで開催された「2024NEW環境展」。特装車メーカー大手の新明和工業は、燃料電池トラックをベースにした塵芥車(ごみ収集車)や、BEVトラックをベースにした脱着ボディ、ダンプ、テールゲート車まで、オール電動の実車4台を展示した。その展示車両を紹介していこう。

文・写真/フルロード編集部

燃料電池車をベースに架装したごみ収集車

CJPTの燃料電池トラックをベースにした新明和の回転板式塵芥車、G‐RX

 今回展示された燃料電池塵芥車は、CJPT(CACEの社会実装を目指しトヨタ自動車、日野自動車、いすゞ自動車が設立した合弁会社)が開発している水素燃料電池小型トラックをベースに、新明和工業の回転板式圧縮装置を架装したもの。

 参考出品車ではあるが、今年3月に福岡市、4月に東京都千代田区で同様の組み合わせ(細かい仕様は自治体で異なる)による燃料電池塵芥車の実証実験もスタートしている。

 燃料電池塵芥車の上モノ自体は、ディーゼル車で設定している2トン〜3トン車級、回転板式塵芥車「G-RX」のボティ容積6.1㎥の仕様と同じだ。

 ただし、キャブバックには電動車で架装物を動かすための油圧ポンプ、モーター、インバーターなどの電動ユニット(ePTO)が収まるボックスがあるため、同じ容積のディーゼル車に比べ、やや車体は大きい(長い)。

通常ならばもうワンランク短いホイールベースの車両が使用されるが、キャブバックに電動ユニットがあるため若干全長は長い。なおシャシーと電動ユニット部まではCJPT製だ

 水素燃料電池トラックは水素と大気中の酸素を化学反応させて発電し、その電力を高電圧バッテリーに一度蓄えて、駆動用モーターあるいは架装部のePTOを動かすことに消費される。

 今回の車両の高圧水素タンクには水素約10.5kgが充填でき、航続距離は満充填で150〜170kmが見込まれている。

 塵芥車などの上モノが航続距離などに与える影響は気になるところだが、今後各自治体の実証実験を通じ、実運用して何キロ走れるのか、空荷から満載までを何回繰り返しできるのかといったデータが検証される予定だ。

eキャンターのシャシーに脱着ボディ「アームロール」を架装

eキャンターをベースにした初の脱着ボディ車。荷台にはフードデリバリー用ドローンを積載していた

 こちらも参考出品であるが、三菱ふそうのBEV「eキャンター」の短尺車(41kWhのSサイズバッテリーを搭載)をベースに新明和の脱着ボディ「アームロール」を架装した国内初の車両である。最大積載量3000kgを確保するなど、基本スペックはディーゼル車と同等だ。

 上モノは従来のディーゼル車のものと変わらないが、BEV架装に際し、三菱ふそうがeキャンターにオプション設定する純正ePTOに合わせた制御ボックスを新たに追加。

 またアームロールでは、リモコンにジョイスティックレバーを採用したことで、アームの速度とモーターの回転数の制御を同時に行なえるようになり、高い操作性を実現している。 

エレモの清掃ダンプ仕様も登場

今年から発売を開始したエレモダンプ(清掃仕様)。展示車は特別仕様で荷台部が丸みの帯びたデザインとなっている

 小型商用BEV「エレモ」を手がけるHWエレクトロと新明和工業がコラボレーションし誕生したエレモダンプ。通常ダンプの多目的仕様と、展示車の深アオリ・清掃仕様ともに今年1月から発売を開始している。

 今回のエレモダンプは展示会用の特別仕様で、エレモのキュートなフォルムと似合うようにアオリ部の凹凸を無くし丸みを帯びた荷台にドレスアップが施されている。

 ダンプ装置は新明和が手がけている軽トラック用のダンプをもとに開発したもので、軽ダンプのPTO非搭載タイプと同じく電動パワーユニットを備え補機用バッテリー(エレモに標準搭載)で稼働できる。

平ボディのF1トラックにすいちょくゲートを架装

フォロフライのBEVトラック、F1トラックに新明和のテールゲートリフタを架装した車両

 新明和のテールゲートリフタ「すいちょくゲート」は、eキャンターですでに販売実績もあるそうだが、今回はフォロフライの商用BEV「F1トラック」に架装した車両を参考出品した。

 フォロフライの1.15トン積みのF1トラックは、普通免許で乗れる平ボディタイプのトラックで、すいちょくゲートを搭載した場合、最大積載量は900kgほどになる。

 テールゲートは、車両にもともと搭載されている12Vの補機用バッテリーで駆動できるという。

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