国土交通省の発表した型式認証取得不正に関し、ホンダはプレスリリースを出してその詳細を発表した。その内容によると、不正が認められた5社(トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機)中最多となる過去22車種に不正があったことが判明した。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ホンダ

■プレスリリースで22車種の具体的事案を発表

国土交通省の発表を受け、ホンダは緊急のプレスリリースを出した

 ホンダは2024年1月26日、国土交通省から「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態について」の調査指示を受け、社内調査を実施。その結果、ホンダが過去に販売した四輪車について、型式指定申請時の認証試験に関する不適切な事案があったことが確認され、同年5月31日に国土交通省に報告したという。

 ホンダはプレスリリースのなかで、「お客様やお取引先をはじめ、多くのステークホルダーの皆様に多大なご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます」

 そのうえで「なお、社内で技術検証や実車試験などを行い、規定された法規基準を満たしていることが確認できているため、法規に関わる完成車性能への影響はないと考えております。このため、当事案の対象車種を現在お使いいただいているお客様につきましては、ご使用を継続いただくにあたり、当事案に関してご対応をいただく必要はございません」

「型式指定申請に必要な各種の認証試験は、お客様に安心・安全に製品をご使用頂くための大前提となるものであり、Hondaは本調査結果を大変重く受け止めております。今後、全社をあげて再発防止と信頼の回復に取り組む所存です」

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【速報】国土交通省が型式指定認証における不正行為を発表 トヨタ、マツダ、ヤマハで現行車種にも不正との指摘

■騒音試験でふたつの不適切事案が発生

2011年に登場した初代N-BOXもリストには入っている

 主な経緯としては2024年1月26日に国土交通省から「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態について」の調査指示を受け、速やかに調査を開始。同年4月26日、国土交通省に調査継続中であることおよび、同年5月中に調査を完了し結果を報告する旨を経過報告した。続いて同年5月31日、国土交通省に調査結果を報告。

 続いて調査結果の概要だが、ホンダが過去に販売した四輪車について、型式指定申請に必要な騒音試験および原動機車載出力試験などで、試験条件の逸脱や試験成績書に実測値と異なるデータを記載するなどの不適切な事案があったことを確認したという。

 なお、現行販売車種および今後販売を予定している四輪車の認証試験における不適切な事案は確認されていないという。

計22車種の過去販売モデルが騒音試験での不適切事案に該当したホンダ

 騒音試験における不適切事案では、2009年2月~2017年10月に実施した騒音試験において以下の2事案があったという。

・試験車両の重量設定について、法規の規定範囲を超えた重量で試験を実施した(試験条件の不備)

・試験成績書において、実際に試験を行なった車両の重量とは異なる規定範囲内の数値を記載した(虚偽記載)

S660も今回のリストには入っている

 不正が発生した背景と理由については、「試験実施後に設計変更などに伴い車両重量が変化すると再試験が発生する可能性があるが、車両重量を法規より厳しい条件に設定して試験を行うことで、騒音性能は保証できると解釈し、再試験の工数を増やさずにすむと考えてしまった」とのこと。

■ガソリン車の不適切事案では試験結果の出力とトルクの値を書き換え

原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験における不適切事案に該当した8車種

 原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験における不適切事案では2013年5月~2015年6月に実施した原動機車載出力試験、電動機最高出力及び定格出力試験において以下の1事案があった。

・試験結果の出力値およびトルク値を書き換えて試験成績書に記載した(虚偽記載)

2013年登場の3代目フィットもガソリン車の電動機最高出力及び定格出力試験における不適切事案に該当

 こちらの理由や背景には、「試験結果が同一諸元の原動機や電動機を搭載する機種の諸元値に未達または過達の場合、追加の解析が発生する可能性があるが、諸元値に対する差がわずかだった場合には性能のばらつきの範囲内であると考え、既に認証を取得している機種の諸元値に書き換えることで、追加解析の発生を回避し、工数を増やさずにすむと考えてしまった」としている。

■ガソリン車の原動機車載出力試験でも不適切事案

先代フィット、シャトル、現行オデッセイ、ジェイドの4車種が該当

 最後の原動機車載出力試験(ガソリン機関)における不適切事案については2013年4月~2015年1月に実施した原動機車載出力試験において以下の1事案があった。

・法規では発電機を作動させた状態で試験を行うべきところ、作動させずに実施し、別の同一原動機試験で得られた補正値を用いて数値を算出し、これを発電機が作動した状態と同等の試験結果とみなした。(試験条件の不備)

ジェイドも原動機車載出力試験の不適切事案に該当

 こちらの背景と理由について、「発電機を作動させた状態での測定が試験条件であることが試験マニュアルに規定されておらず、補正値を用いて算出した数値が定められた条件での試験結果と同等であるとみなし、工数を増やさずにすむと考えてしまった」

 今後の再発防止についてホンダは、「今回の事象を重く受け止め、コンプライアンスおよびガバナンス強化の観点をふまえた再発防止に全社をあげて取り組みます。あらためて法令順守を徹底する考えを、経営のトップメッセージとして社内に発信し、全ての従業員に対して遵法マインドの育成強化を図ります。また、人によって異なる解釈や判断が発生しないよう、適切な業務プロセスを構築・標準化するとともに、内部監査機能のさらなる強化を図ります」としている。

 今後、ホンダは記者会見でこの問題について記者会見を開く予定で、そちらの続報もお伝えしよう。

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