昨年1月にビッグマイチェンを実施したマツダ2。ただ改名前のデミオ時代まで遡れば、登場して10年以上経過しており、いつフルモデルチェンジをしてもおかしくないタイミングである。一切ウワサがないものの、新型マツダ2はパワートレイン含めどんな仕上がりとなるのか!? もしやロータリーエンジン搭載か!?!?

文:吉川賢一/写真:MAZDA

■次期型ではヤリスハイブリッドのTHS-IIユニットが搭載されるのでは

2023年1月のビッグマイナーチェンジから8ヵ月後の2023年9月、再び改良版MAZDA2が登場。「15 BD」「XD BD」へ用品架装パッケージ車「SCI-FI(サイファイ)」を追加設定した

 2023年のマツダ2の登録台数は約2万台、月平均で1650台だった。2024年に入ってからも、月平均1500台を維持しており、10年目を目前とするコンパクトカーとしては素晴らしい売れ行き。次期型にも大いに期待がかかるモデルだ。

 次期型マツダ2において、真っ先に気になるのは、やはりパワートレインだ。マツダが2023年11月に発表した中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針の今後の電動化戦略には、次期マツダ2が関係する具体的な言及はないが、エントリーマツダ車として台数を売るべきモデルであるマツダ2は、マツダが目指す内燃機関や電動化技術などのパワーユニットの展開を適材適所で行う「マルチソリューション」に早期に取り組む必要があり、次期型では何らかの電動化は避けられないはずだ。

 できることならば、マツダ入魂のシングルロータリーエンジン発電のPHEVユニット小型簡素版の搭載を期待したいところだが、コストが厳しいコンパクトカーにそれは望めない。

 マツダ2といえば、欧州市場では、トヨタ「ヤリス」のハイブリッドモデルが「マツダ2」として販売されているが、次期マツダ2では、おそらくこのヤリスハイブリッドの既存THS-IIユニットを譲り受け、「マツダ2ハイブリッド」として販売してくるのではないか、と筆者は考えている。

2022年より欧州へ導入されたMAZDA2ハイブリッド。トヨタヤリスハイブリッドのOEMだ
MAZDA2ハイブリッドのリアテールランプのデザインは左右分離タイプ。ヤリスの横一文字タイプのデザインとは異なる
MAZDA2の中古車をもっと見る ≫

■新開発される横置きシングルロータリーエンジンでの小型ハイブリッドもあるか!??

2014年3月のジュネーブモーターショーで初公開となった、コンセプトモデルの「マツダ跳」。現在のマツダ2の元となったコンセプトカーだ

 また、2024年5月27日に行われた、トヨタ・スバル・マツダによる共同の技術説明会でマツダは、自社の特色であるロータリーエンジンと電動化ユニットの組み合わせを強調しており、カーボンニュートラル燃料を使用する横置きのシングルロータリーエンジンの開発を示唆した。電動化ユニットの組み合わせることが前提の新たなパワーユニットだ。

 燃料の雑食性がある(通常の直列配置エンジンよりも様々なカーボンニュートラル燃料に対応させやすい)とされるロータリーエンジン。CO2排出をどう抑制できるかは気になるところだが、軽量化できるという観点では、コンパクトカーであるマツダ2にこそ欲しいユニット。

 コスト面を考えればマツダ2よりも上級車に搭載となる可能性は高いが、マツダ2にも上級グレードとして用意される可能性は十分にあると思う。

 まとめると、次期マツダ2では、前述したヤリスハイブリッドの既存THS-IIユニットを譲り受けたハイブリッドに加えて、(開発が間に合えば)上級グレードとして横置きシングルロータリーエンジンの純マツダ製の小型ハイブリッドを用意、そしてエントリーグレードには既存の1.5L直4ガソリンエンジンの改良版を搭載、というフレキシブルなパワトレ戦略で挑んでくるのではないか、というのが筆者の予想だ。

10年も昔のコンセプトカーだが、今でも通用するスタイリッシュなボディデザインは当時、マツダのデザイン力の高さを世界に知らしめた

■マツダ2をベースとするCX-3などの派生車の次期型にも期待!!

 マツダは、同社のグローバル販売において3分の1も占める基幹モデル「CX-5」のフルモデルチェンジを控えており、その後も次期ロードスターや次期マツダ6、そしてアイコニックSPの市販型など、多くのニューモデルの登場も期待されている。

 そんななか、量販車種であるマツダ2でコケるわけにはいかず、マツダとしてもかなり力を入れてくるはずだ。はたして、次期マツダ2はどのようなクルマとなって登場するのか!?? それをベースとする次期CX-3などの派生車の計画にも注目したい。

 ※編集部注/2024年6月3日、国交省は公表した認証試験不正問題において、現行マツダ車2車種のうち1台がマツダ2でした(もう一台はロードスターRF)。これを受けてマツダは6月6日からマツダ2を含む現行2車種の生産を停止、国交省の立入検査と処分の通達を待っている状況です。生産再開のメドは立っておらず、全国のマツダディーラーでは順次、受注を止めています(2024年6月8日時点)。マツダによると「社内再確認で実際の走行に問題ないことは確認できており、すでにお乗りのお客様には、そのままお乗りいただいて問題ありません」とのこと。二度とこのような不正が起こらないよう対策を施しつつ、一刻も早い生産、出荷、販売の再開と、次期型の開発推進を望みます。頼むよ……。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。