音楽好きなドライバーなら、その音楽をもっと良い音で楽しみたいと思ったことが1度や2度はあるはずだ。その思いを低予算で実現できる方法をさまざま紹介している当特集。今回は、リーズナブルな「パワーアンプ内蔵DSP」を導入するという作戦について解説していく。

◆「DSP」を導入すれば、車内の音響的な不利要因の改善が可能に!

最初に、「パワーアンプ内蔵DSP」とは何なのかを説明していこう。これはその名のとおり、「DSP」と「パワーアンプ」とが一体化したユニットだ。なお「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称だ。これをシステムに加えると、音楽信号のデジタルチューニングを行える。

で、カーオーディオでは「DSP」が用いられることが多い。なぜなら車内には音響的な不利要因がいくつかあり、しかし「DSP」を用いるとそれらへの対処が可能となるからだ。「クロスオーバー」という機能を使えば、取り付け条件に応じたベストなスピーカーの鳴らし方を設定できる。「イコライザー」を使えば、車内という狭い空間だからこそ発生する周波数特性の乱れを改善できる。そして「タイムアライメント」という機能を使うと、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を擬似的に作り出せる。

なおこのようなサウンド制御を行うにあたって「DSP」の内部では、あらかじめ音楽信号の帯域分割が行われる。例えば使用しているスピーカーがフロント2ウェイなら、フルレンジの音楽信号をツイーター用の高音信号とミッドウーファー用の中低音信号とに分割される。そうすればそれぞれの信号の個別制御が可能となり、緻密なサウンドチューニングを行える。

比較的にリーズナブルな「パワーアンプ内蔵DSP」の一例(ゴールドホルン・DSPA 406<GDT42>)。

◆「DSP」の後段にはアンプの設置がマスト。「パワーアンプDSP」ならそれも付いている!

ところで「DSP」にてあらかじめ信号を帯域分割した場合には、それ以後もそれぞれの信号を個別に取り扱う必要性が生じる。つまりパワーアンプで増幅する際にも、各信号を別々のchにて増幅しなくてはならなくなる。

なので「パワーアンプ内蔵DSP」はパワーアンプも内蔵していて、フロントスピーカーの個別駆動を行えるch数が確保されている場合が多い。そうであれば、外部パワーアンプを別途用意しなくても良い。純正メインユニットと純正スピーカーの間にこれをポンと入れ込めば、本格的なカーオーディオシステムを即、完成可能だ。

ちなみにいうと、メインユニットを交換してもシステムを一気に本格化させられる。メインユニットの中には高度な「DSP」と優秀なパワーアンプとを内蔵したモデルがあり、それに換装すればOKだ。

しかし昨今はメインユニットを交換しにくい車種が増えている。そうであったら、この「パワーアンプ内蔵DSP」が頼りになる。これならメインユニットを交換せずともシステムの本格化が可能となるのだ。

さらには以下のようなケースでも、「パワーアンプ内蔵DSP」は特に力を発揮する。まずは純正オプションの高級オーディオシステムが装着されている場合に、「パワーアンプ内蔵DSP」の導入は有効だ。

比較的にリーズナブルな「パワーアンプ内蔵DSP」の一例(プラグアンドプレイ・PLUG&PLAY 1080)。

◆「パワーアンプ内蔵DSP」を使えば、サウンドチューニングの再構築が可能に!

というのも高級な純正オプションオーディオシステムではその中に「DSP」が組み込まれていて、しかもその設定を後から変更できない。なのでスピーカーを交換しても交換するスピーカーに対してベストなサウンドチューニングを施せず、交換するスピーカーの性能を十分に引き出しきれない。

しかし「パワーアンプ内蔵DSP」を導入すれば、高級純正オーディオシステムにてチューニングされた音楽信号の再チューニングを行えるので、音を一層良くできる。

またトヨタ車純正ディスプレイオーディオの搭載車でも、「パワーアンプ内蔵DSP」は大きな効果を発揮する。トヨタ車純正ディスプレイオーディでもその内部にて音楽信号がある程度いじられている場合が多いので、スピーカーを換えてもスピーカーの性能を引き出しきれない。しかし「パワーアンプ内蔵DSP」を導入すれば同じく、サウンドチューニングをし直せる。

なお「パワーアンプ内蔵DSP」は6万円台くらいから魅力的な製品がいくつかある。サウンドの変わり幅から考えると、コスパは高い。愛車の純正オーディオシステムの音に不満があれば、「パワーアンプ内蔵DSP」の導入を検討する価値は大だ。要チェック。

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